ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業様・インキュベートルームの入居企業様の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!
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『伝統と革新のバランス』が永続企業を作る!
松浪硝子工業株式会社 代表取締役社長 松浪 明 氏
会社名 | 松浪硝子工業株式会社 |
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住所 | 〒596-0049 大阪府岸和田市八阪町2-1-10 |
電話番号 | 072-422-4545 |
代表者名 | 代表取締役社長 松浪 明 氏 |
設立 | 1844年(弘化元年) |
事業内容 | 臨床検査用・遺伝子検査用ガラス 病理・細胞診断支援システム 光・電子部品用ガラス |
老舗ののれんは信用が第一
松浪硝子工業株式会社は、臨床検査用ガラスや病理診断支援システムなど開発・販売を担当するライフサイエンス事業と、プラズマディスプレイの基板ガラスや極薄膜ガラスなどの光・電子事業の二本柱で事業を行う。
「当社は1844年(弘化元年)の創業以来、約170年に及ぶ歴史を刻み続けています。創業者がこの泉南地域で薄玻璃(うすはり)を素材にした合わせ鏡を製造したのが起源です。以来、この地で商売を続け、特殊薄板ガラスの製造技術へと発展させてきました」と語るのは、代表取締役社長の松浪明氏だ。
同社では、小さな世界企業を目指すべく、品質、独自性とスピードを重視している。 「徹底した品質管理を貫きながら、新たな付加価値を開発して商品価値を高める戦略を徹底しています。従来は高品質でも付加価値は低かったカバーガラスに高い価値を付加する技術を開発し、それを活用するソリューションとして病理診断支援システムを開発するなど、高品質こそが当社の存在意義でありお客様の信頼です。品質とは企業経営そのものなのです」
徹底した品質管理に支えられた高付加価値戦略は、老舗ののれんを守り続けるための『伝統と革新のバランス』の上に立脚している。
MPS(マツナミ生産方式)の確立を目指す!
2006年からTPS(トヨタ生産方式)を業務に導入する取り組みを開始した松浪硝子工業。赤字に転落したわけでもなく、極端な生産効率の悪化もない中での決断だった。松浪氏は、経営者として未来を見据えて決断したと語る。
「世界で最も人件費が高い国で生産する企業が生き残るには、人件費を生産性でカバーするしかない。リードタイム短縮、一人あたりの在庫減、一人あたりの付加価値増を達成するMPS(マツナミ生産方式)を構築・確立するためにも変革が必要だったのです。もちろんTPSをそのまま当社のものづくりに反映させることは不可能。でも、現場の意識は確実に変化しました。今は現場の統率力を磨き、学んだ知識を現場に活かそうと挑戦しています」
この挑戦は現在も続いており、現場では『カイゼン』を重ねる日々が続いている。
「TPSに取り組む決断で私の本気度が伝わり、社員の皆さんも本気で取り組んでくれています。TPSの素晴らしい面を採用して、必ずMPSを確立しますよ」
『不滅の永続企業』として200年企業を目指す!
現在、MPSの構築を目指す中で、松浪氏は社長の想いを全社員と共有するために、毎年年度方針を書き記している。いかに良い商品や良い仕組みができても、経営者と社員が想いをひとつにして動かなければ、成果は得られないと考えているからだ。
「社員の皆さんには、会社のためではなく、自己や社会のために働くのだという意識をもっていただき、それを実際の業務につなげてもらいたいのです。その意識と業務をつなぐのが経営理念。だから経営理念は絶対に粗末にしてはなりません」と松浪氏。
最後にこれから目指す方向についてお話をうかがった。
「創業以来、大阪の泉南地域で商売を続けてきた企業として、今後も様々な形で地域に貢献していきます。常に高品質を追求する姿勢に変化はありませんが、一人ひとりが技術を磨き、創意工夫を積み重ね、新しい挑戦を繰り返していきます。『伝統と革新のバランス』を保ちながら『不滅の永続企業』を目指し、100年企業ならぬ、200年企業を目指しますよ」
取材日:2012年8月24日(金) ライター:中直照((株)ショートカプチーノ)
MOBIO担当者より
「伝統と革新のバランス」「1人のひらめきより3人の知恵。改善は無限である」と200年企業をめざす松浪社長の言葉はずっしりと心に響きました。(担当:奥田)