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MOBIO入居企業・常設展示場出展企業のスペシャルインタビュー

ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業およびインキュベートルームの入居企業の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!
※出展終了およびインキュベートルームから退居した企業の記事は掲載しておりません。

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メイドインジャパンならではの品質と対応力で勝負!

株式会社マインド 代表取締役 辻村 彰一 氏

株式会社マインド
代表取締役 辻村 彰一 氏

会社名株式会社マインド
住所大阪府東大阪市若江東町6-7-35
電話番号06-6722-4994
企業HPhttps://www.coil-mind.co.jp/index.html
代表者名代表取締役 辻村 彰一 氏
設立1990年
事業内容コイル状樹脂コード(カールコード)の企画製造・販売

特許取得の製造装置で多サイズのカールコード生産が可能に

色、太さ、硬さも多様なカールコード。

スマホのストラップのほか、工具の落下防止など用途も多彩。

株式会社マインドが主に製造しているのは、ウレタンコードをコイル状に巻いて作る「カールコード」だ。伸縮する特徴を活かし、工具の落下防止ストラップや、商品の盗難防止ストラップなど多方面で活用されている。もともとはプラスチック原料や顔料の販売を行っていた同社がカールコードを手がけるようになったのは、創業者である辻村勉氏が代表取締役を務めていた1990年代後半。「当時はウレタンコードをどうしたらコイルの形状にできるのか、一から手探りで始めたので、長期間にわたって試行錯誤を繰り返したようです」と、現・代表取締役の辻村彰一氏は語る。苦労の甲斐あって、カールコードの形を作る機械が完成。最初はコイル径の太いコードを製作していたが、機械の改良を重ね、やがて他社ではやっていない細いカールコードの生産も可能になった。
ちょうどその頃、世の中を席巻していたのが携帯電話である。細くて見栄えのいいカールコードを携帯電話の落下防止ストラップとして販売したところ、またたく間にカールコードは同社の主力製品へと成長した。

独自に開発したカールコード製造装置は、2001年に特許を取得している。細いものから太いものまで、また、手間と時間のかかる長いものも作ることができて、しかも製作スピードが早いことが特長だ。「ただ、機械はあっても、安定した品質を保持するにはどうしても職人の技術が必要になります。仕入れた線材の太さにほんのわずかな誤差があったり、温度や機械の治具、職人が線材を引っ張る強さなどによっても、仕上がりが違ってくるんです。そのあたりは本当に繊細で、今でも悩むことはあります」と辻村社長。私たちがふだん何気なく目にしたり利用したりしているカールコードは、実はきめ細かな技術と苦労の結晶だったのだ。

自社製品の販売から、顧客の要望に合わせて製品を開発する製造業へ転換

少し重たい機器でも、落とさない「ハイブリッド型カールコード」(Cタイプ)(Aのワイヤー入り、Bのナイロン撚糸入りとのバネ力比較)

左は外国製。溶着の仕方ですき間ができている。右は(株)マインド製。隙間なく溶着されており、品質の違いを実感。

カールコードを携帯電話ストラップとして販売し、時代の波に乗った同社であったが、外国製の安価なものが出回るようになると、次第に売れ行きは低迷していく。当時すでに(株)マインドに入社していた辻村社長は、新たな戦略に打って出た。それが自社製品の製造販売から、要望に応じて製品を開発する製造業への転換だった。
ホームページを刷新し、ニーズに合わせたカールコードを企画開発できることをアピール。SEO対策をはじめ、できるだけ多くの人に知ってもらえるよう地道な努力を続けた結果、数年後にはホームページを見た企業などから「こんな製品作れませんか?」という問い合わせが多く来るようになった。「『やっと辿り着きました』という声も多く、カールコードが製作できるところを探している人はまだまだたくさんいるんだということに気づきました」と辻村社長は言う。
現在はOEMを中心に様々な製品作りに取り組み、釣り具の落下防止、編み物用品への応用、装飾として活用できるカールコードなど、多様な用途への展開を図っている。コロナ禍でマスクが不足した際には、手作りマスクを作るのに便利な、クリップ付きで耳が痛くならない柔らかいカールコードも製造し、好評を得た。

今や外国製のカールコードが100円均一のショップなどでも販売されている中、同社の製品が選ばれている理由は、なんといってもメイドインジャパンならではの品質と、きめ細かな対応力といえるだろう。
太さ、長さ、用途に応じた硬さのほか、もとは顔料を扱っていた実績からオリジナルカラーの要望にも応えることができる。重いものを吊るしても切れたり伸びきったりしない強度の高さ、仕上がりに差が出る溶着技術、さらにはコイル状にしたあとの付属品の取り付けといった加工技術にもこだわっていて、愛用者からは「外国製の安価なものとは比べものにならない」と高く評価されている。

様々なところで必要とされるカールコードの無限の可能性に挑む

社長に就任して3年。辻村氏は今後取り組むべき課題として、「技術を未来へどう繋げていくのか考えなければならない」と語る。技術者に求めるのは、失敗してもいいから、その失敗を次に活かすにはどうしたらいいかを考え、工夫してチャレンジし続けること。一方で、新しく入ってきた人がコツを覚えるまでの時間や、仕事ができるようになるまでの気持ちの負担を軽減するために、誰もがすぐに使えて、誰がやっても同じ品質が保てるような機械の開発も視野に入れている。
製品面では、お客さんからアイデアをもらうだけでなく、こちらから提案できるものも作っていきたいとのこと。今思い描いているのは、“絶対に切れないカールコード”だ。「百貨店などでも相当な盗難被害があると聞きます。絶対に切れないカールコードが本当に実現できたら、画期的な商品になるはず。まだ実現のめどは立っていませんが、今後の大きな目標としてチャレンジしていきたい」と意欲を燃やす。
もちろん今あるカールコードも、まだまだ無限の可能性があると見ている。外からは見えないが機械の中に付属品として使われているケースもあるなど、カールコードを必要としているところは探せばたくさんあるのだそう。カールコードに取り付ける付属品によっても、用途のバリエーションは果てしなく広がる。
アイデア次第でいろんな使い方ができる商材だからこそ、柔軟な発想と技術の融合によって今後どのような製品が生まれるのか楽しみにしたい。

機械の改良により、こんなに細く長く柔軟なコードも製造可能になった。

MOBIO担当者より

モバイル機器の急増、屋外・高所での工具使用増加の今日、「大切なもの」は「使いやすい、なくさない、落とさない」ことが必須。(株)マインドの、細い、長い、軽い、伸縮する「カールコード」はそのニーズに合致するよう開発製造された付属部品。しかも日本製造だから、多品種小ロットでの高品質特注品の開発・製造が特徴。辻村社長は、バネのように「柔軟な」発想で、「Made in Japanだからこそできるものづくり」に邁進されていました。 (MOBIO兒玉)

2022年9月26日(月) ライター:成田知子

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