ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業およびインキュベートルームの入居企業の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!
※出展終了およびインキュベートルームから退居した企業の記事は掲載しておりません。
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チャンスは変革や挑戦の努力がもたらすプレゼント。
大一鋼業株式会社 代表取締役 高橋 由紀子 氏
会社名 | 大一鋼業株式会社 |
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住所 | 〒577-0815 大阪府東大阪市金物町3-11 |
電話番号 | 06-6723-0788 |
代表者名 | 代表取締役 高橋 由紀子 氏 |
設立 | 1936年(昭和11年) |
事業内容 | キーホルダー、フック、スッポンフック カギ廻り商品、建築金物・利器工具・建築副資材卸売、オリジナル商品の製造・販売 |
社員全員が参加する商品開発
超ロングセラー商品『MARKEY』をはじめ、キーホルダーや『スッポンフック』をはじめとした壁掛け用フックなどの企画・製造を行う大一鋼業株式会社は、創業75年の老舗企業だ。現在に至るまでの話を代表取締役・高橋由紀子氏におうかがいした。
「貿易商を経て建築金物の問屋をしていた父親が『いずれ問屋ではやっていけない時期が来る』と考え、ものづくりを始めたのがきっかけです」
発売当初、カラフルな樹脂を使った『MARKEY』は、鍵を扱う金物屋では扱ってもらえず文具屋で扱われたが、そこでのヒットが販路拡大につながった。
また『スッポンフック』も、高橋氏の機転によって実現した百貨店の実演販売から火が付き、ホームセンターでの取扱いが始まってヒットにつながった。
どちらも発売直後からヒットしたのではなく、社長を含めた社員の商品に対する愛情が超ロングセラー商品を生み出した。
高橋氏によると、現在は社員全員が商品開発に参画することが商品への愛情を育むことに繋がっているという。
「自分たちで知恵を出し合った商品は、売れないとかわいそうに感じるほど愛情が湧くんですよ(笑)」
社内資源を集中し、工場を持たないメーカーになる
高橋氏は「メーカーとして認められる企業になる」という明確な目標があった。『MARKEY』だけでも月間数十万個生産するため、周囲から工場建設の話が何度も舞い込んだ。
しかし、高橋氏はその勧めを受け付けなかった。
「会社の経営はできても工場の運営は無理だと感じました。こればかりは経営者の肌感覚のようなもので説明できません。そこで、工場を持たないメーカーになると決め、ずっと挑戦を続けてきました。最近は商品製造の依頼も増え、メーカーとして認められつつあると感慨深いものを感じています」
工場を持たない分、社内資源を商品開発に集中。1カ月に1回、先述の社員全員が参画する商品開発会議を実施している。
「お客様からの要望検討はもちろん、既存商品のブラッシュアップも行います。自分たちが手塩に掛けて開発した商品ですから、みんななんとか日の目を見せてやりたいという想いがある。手塩にかけて商品の変革を続ければ必ず売れるようになるんですよ」
こうした自社商品に対する愛着は、実際の経営戦略にも反映されている。例えば、自社費用負担による金型の所有をはじめ、商標や特許を含めた知的財産はすべて取得済だ。
長く愛される商品を開発し、100年企業をめざす!
今後の目標を尋ねると、まずは100年企業をめざす、と高橋氏。
「ものづくりをはじめた以上は、きちんとした物を提供し続けたいですね。他社の樹脂小物製品の商品寿命は2~3年程度ですが、当社は『MARKEY』も『スッポンフック』も30年以上の超ロングセラー。長く売れ続ける商品を作るために、膨大な時間とコストを掛けてプロトタイプや商品テストを行います。だから我々は自社の商品に自信が持てるのです。この姿勢は変えるつもりはありません」
最後に、変革と挑戦に取り組む経営者として心に留めていることを尋ねた。
「常に目標を持ち続けて、それを自分の身体の中に覚え込ませています。そうすればチャンスが目の前に到来した時、身体が反射的にチャンスを掴むように動いてくれる。でも、チャンスは努力のたまものであり、偶然やラッキーで到来するものではありません。現在の変革と挑戦を継続する努力が、未来のチャンスを掴むことに繋がるんですよ」
取材日:2012年9月13日(木) ライター:中直照((株)ショートカプチーノ)
MOBIO担当者より
「自分たちが造った製品には子供のように愛情を注ぐ」「チャンスは偶然からではなく努力から生まれる」高橋社長には100年企業にするための熱い思いが溢れていました。(担当:兒玉)