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MOBIO入居企業・常設展示場出展企業のスペシャルインタビュー

ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業およびインキュベートルームの入居企業の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!
※出展終了およびインキュベートルームから退居した企業の記事は掲載しておりません。

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独自技術で開発した樹脂ローラで、狙うは世界制覇

テクノロール株式会社 代表取締役 畑中 一辰 氏

テクノロール株式会社
代表取締役 畑中 一辰 氏

会社名テクノロール株式会社
住所大阪府和泉市テクノステージ3-4-5
電話番号0725-53-3933
代表者名代表取締役 畑中 一辰 氏
設立1980年
事業内容印刷用ゴムおよび樹脂ローラ、印刷周辺機器

UV印刷用の樹脂ローラを他社に先駆け開発

軟化劣化、耐久性の問題をクリアしたUV印刷用樹脂ロール「トラストプロ」

薬品の配合など各種実験を繰り返し素材の開発を行うケミカル部門

和泉市にある130区画を有する工業団地「テクノステージ」内に、テクノロール株式会社はある。同社の主要製品は、印刷用のゴムおよび樹脂ローラだ。なかでも油性インキがメインだった印刷業界に、紫外線をあてると固まるUVインキが登場してからは、UV印刷用のローラに特化。しかも、ゴムローラの様々な問題を解決する樹脂ローラをいち早く開発したことで、順調に業績を伸ばしてきた。
樹脂製の難しい点は、成分の配合にある。個々の会社が使用するインキや洗浄剤に合った配合をしなくてはならない。禁止物質は使わないなど、法規制への対応も求められる。同社が他社に先んじてUV印刷用の樹脂ローラを開発することができたのは、創業者である西脇宏氏がケミカルに精通していたこと、そして、もともとがゴムローラのように大がかりな設備を必要としない樹脂ローラからスタートし、実績を積んできたことが大きい。
テクノロールケミカル部隊が実験を繰り返し、変化するインキや法規制に合わせた配合を研究。顧客それぞれの要望にきめ細かく応えるものづくりで、高い評価を得ている。昨年末には、機械の高速化において樹脂ロールの課題となっていた軟化劣化、耐久性の問題をクリアーした新製品「トラストプロ」の販売も開始した。
加えて、同社にはケミカル部門のほかに電気設計部門・機械設計部門があり、「ローラクリーニング装置」や「産業用自動連続ゴミ取り装置」といった機器装置の設計・販売も行っている。最も新しいところでは、「自動走行ラック」を完成させた。これは目的のラックが自動で引き出されるので、既存のスペースで収納量を格段に増やせる。「大がかりな自動走行ラックと違って個々のスペースに合わせて設計できるから、中小企業にはきっと喜ばれるはず」と、現社長・畑中一辰氏は自信をのぞかせる。

タッチパネルで指定したラックだけが自動で引き出される「自動走行ラック」

ムダを省いて効率アップ!社員が楽しく働ける職場づくりで意欲向上

畑中氏が代表取締役社長に就任したのは2019年。しかし、実は2010~2013年にも一度、社長を務めている。その時取り組んだ改革が、ムダを省き効率を上げること。樹脂ローラは液体の樹脂を金型に流し込んで固め、表面を研磨して完成させる。その削り取る量を最小限にすべく、金型をすべて作り替えたのである。これによって樹脂の使用量が大幅に減り、利益は大きく上がった。
その後、6年ほど会社を離れていた畑中氏だったが、改めて社長に就任してからは、「これからの時代に企業がやるべきこと」として「5S」や「SDGs」といった取り組みにも着手する。社員の平均年齢が37~8歳と比較的若いこともあり、社長からの発信はLINE、社内の情報共有や意見交換はクラウドサービスを活用していると言う。「こうした取り組みによって、工場は以前よりはるかにきれいになった。総務ではペーパーレス化に取り組んだり、最近では『テクノステージの協議会に提案して、海岸の清掃に行ってはどうか』という意見も出るなど、社員たちの意識が高まってきていることを実感しています」と畑中社長。
なお、環境マネジメントについてはISO14001を取得。一方、品質マネジメントに関しては責任を分化するIOS9001は返上し、自社で独自の品質基準を設けて取り組んでいる。
「楽しくなければ仕事じゃない」というのも、畑中社長のモットーだ。テクノステージの女子サッカークラブで活躍する社員がいたり、自社では社員の希望で野球部を創設。プロバスケットボールチーム「大阪エヴェッサ」のスポンサーになるなど、スポーツ活動にも力を入れている。
社内では1日4~5回工場を巡回してコミュニケーションを図り、社員が意見を言いやすい雰囲気づくりに努めているとのこと。「お客さんが来た時、『この会社、明るいな』と言われたら嬉しい」という言葉どおり、実際に工場見学に行くと、社長と屈託なく喋ったり、冗談を言ったり、楽しそうな空気感が伝わってきた。

工場をまわって社員に話しかける畑中社長

世界のあらゆるところへテクノロール製品を広めたい

現在、海外12カ所に提携先がある

世界各国とのオンライン会議

埼玉にある関東支店に続き、2020年10月には佐賀に九州営業所、仙台に東北営業所を開設した。また、同社では、「世界に仲間を増やしたい」という先代の姿勢により、海外にもネットワークを広げてきた。畑中社長が新たに掲げる目標は「世界制覇」。「資本を出すのではなくライセンス契約で原料と技術を提供するので、リスクは非常に小さい。このやり方で、テクノロールの製品を世界のあらゆるところで使ってもらえるようにしていきたい」と、目標は壮大だ。
さらに、「これまで順調にきたとはいえ、印刷業界の未来は決して明るいものではない」と、すでに他業界への参入を見据えた新たなゴムローラ製作機の導入も予定している。ほかにも「他社と組んでロジスティックの会社をつくれば、輸送コストの削減が図れるのではないか」など、未来に向けた構想は尽きない。
一代で社員数130名を超える会社を築き上げた先代から引き継いで2年目。これからどんどん発揮されるであろう畑中社長の手腕に注目したい。

MOBIO担当者より

あらゆる印刷トラブル改善に独自商品の開発で、社会貢献に寄与されているテクノロール(株)様。
畑中社長と意識の高い社員様との強力なチームワークで、環境にも配慮した夢の世界制覇も間近ではないでしょうか。(MOBIO村井)

2021年1月27日(水) ライター:成田知子

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