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MOBIO入居企業・常設展示場出展企業のスペシャルインタビュー

ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業およびインキュベートルームの入居企業の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!
※出展終了およびインキュベートルームから退居した企業の記事は掲載しておりません。

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設備と技術力を常に更新し続ける
ワイヤーカット加工のプロ集団

株式会社丸大精密 代表取締役 大本 和儀 氏

株式会社丸大精密
代表取締役 大本 和儀 氏

会社名株式会社丸大精密
住所大阪府東大阪市菱江3-13-38
電話番号072-966-7701
企業HPhttps://www.marudai-jp.com/
代表者名代表取締役 大本 和儀 氏
設立1990年
事業内容金型、金属部品に関するワイヤーカット放電加工

刃物では難しい微細な加工も可能。その技術に刺激を受け創業を決意

ワイヤーカット放電加工品の一例

ワイヤー線に電気を通して、金属を切り抜き加工する「ワイヤーカット放電加工」。この技術を使うと、刃物では難しい微細なカットや複雑形状のものも高精度で加工することができ、なおかつコストダウンも実現できる。
株式会社丸大精密の代表取締役・大本和儀氏は、34歳で脱サラしてこの世界に飛び込んだ。きっかけは、知人が導入したワイヤーカット放電加工機を見に行ったこと。数値制御で精密な加工が行われていく様子を見て、「自分もやってみたい!」と一念発起した。「すると、その知人が金融機関の保証人になってくれました。金融機関から借りたお金で機械を購入し、40年前に一代で事業を始めました。私の人生において、この知人との出会いは大きな財産。今でも付き合いが続いています」と大本氏は語る。
最初は知人の助けも借りながら技術を習得し、前職で身につけた営業力を武器に取引先を開拓。まじめにコツコツと続けていくことで、徐々に業績が安定し、従業員も増えていった。

上下異形状の加工ができるのもワイヤーカット放電ならでは

まるでマジック!資格を有する従業員たちの高精度な技術力

現在、技術スタッフは6名。2000年に鉄工所や金型メーカーが多く集まる東大阪の中心地に自社工場を構えると、界隈では「ワイヤーカット加工といえば丸大精密」といわれるほどに認知度も高まっていった。なかでも評価されているのは、神業ともいえる精度の高さだ。それを象徴するのが、「MARUDAI」という文字を切り取りはめ込んだ「はめ合い加工」のサンプル品(下の写真参照)。まるで文字が消えたようにピタリとはまり込むのは、片側1000分の1mm程度というクリアランス(隙間)を実現しているから。通常、金属は伸び縮みするので、1文字2文字ならともかく、これだけ長い文字になるとどうしても途中で歪みが生じるもの。それが寸分の狂いもなく均一に保たれているところに、同社の技術力の高さがうかがえる。
「夏と冬では金属が伸び縮みする度合いも違うし、ワイヤーカットは水の中で行うのですが季節によって水温も異なります。また、機械もそれぞれ特性があるので、どれも同じように扱えばいいというわけではない」と大本氏。外気温や機械の特性に合わせた調整も含め、同社では従業員一人ひとりが顧客からの千差万別の要求に応えながら技術力を高めていった結果、今では全員が高い技能を修得したプロ集団へと成長した。

高精度のはめ合い加工。片側1㎛のクリアランスで文字が消えたようにピタリとはまる!

2種類の金属をはめ合わせているとは思えないほど自然な仕上がり

スライド式のはめ合い加工も驚くほどなめらかに動く

技術スタッフは全員、1級・2級放電加工技能士の資格も保有している。もちろん社内でも日々、技術向上に努めていて、先輩から教えを受けたり、毎朝の朝礼で課題や注意点などを共有しながら、みんながレベルアップできるよう腕に磨きをかけている。
顧客との打合せから納品までを担当者が一気通貫で行うのも、同社の特徴の一つ。「それによって責任を持って仕事に取り組むだけでなく、品質や精度に満足していただければ喜びにつながり、さらにいい仕事をしようという気持ちが高まると思うんです」(大本氏)。機械があいているときは自主的に新たな試作品づくりに取り組むなど、チャレンジ精神おう盛な従業員も多く、それがまたお互いの刺激にもなっているようだ。

切磋琢磨しながら日々レベルアップに励む従業員のみなさん

新たな機械を積極導入。従業員が誇りを持って働ける職場づくりに挑む

「従業員のやる気に応え、さらにモチベーションを高めてもらうには、会社としてもできる限りのことをやらなくてはいけない」。そう語る大本氏が取り組むのは、設備投資と、働きやすく安定した収入が見込める職場づくりだ。15台ある機械は古くなったものから順に入れ替え、安定した加工精度が保てる「きさげ加工」が施された機械など、特徴ある設備を積極的に取り入れて競争力の強化に努めている。また、夜間完全無人運転ができる機械も導入。残業はほとんどなく、工場内も床の色を明るいナッツブラウンにして、土足厳禁で5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を徹底するなど、従来の「町工場」のイメージを一新した。
一方で、安定した収益を確保するために仕事の幅をどう広げていくかは悩みどころではあるが、「やはり当社としては、いい機械を入れて、いい仕事をすることが、一番のアピールになる」と大本氏は胸を張る。同時に、この40年で築き上げた取引先との関係は、変わることなく大切にしていく考えだ。「私がこれまで体験してきたように、出会いは財産ですからね。従業員にもいつも、お客様への感謝の気持ちを忘れないよう伝えています」。
全社一丸となり、これからも顧客の要望をハイクオリティな精度で形にすることで信頼に応えていく。

清潔で明るい工場内に最新鋭の機械がズラリと並ぶ

MOBIO担当者より

金型など高精密化への要望に対応し、ワイヤーカット放電加工で、常に安心品質を提供しようと注力。同社はオペレーター全員が放電加工技能士という技術集団。社員間で加工の情報・課題を共有化し、「もっとできる」と新形状の自主研究も盛ん。
可能な限りの設備更新や働きやすい職場環境作りにより、全員の思いがぴったり!製品、企業風土のどちらにも「はめあい」を目指して邁進されている社長でした。
MOBIO 兒玉

2023年9月28日(木) ライター:成田知子

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