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MOBIO入居企業・常設展示場出展企業のスペシャルインタビュー

ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業様・インキュベートルームの入居企業様の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!

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前向きな攻めの経営で新しい領域を次々と開拓!

奈良精工株式会社 代表取締役社長 中川 博央 氏

奈良精工株式会社
代表取締役社長 中川 博央 氏

会社名奈良精工株式会社
住所〒633-0101 奈良県桜井市小夫3681
電話番号0744-48-8511
代表者名代表取締役社長 中川 博央 氏
設立1968年(昭和43年)
事業内容難切削材の高精度加工(医療機器・光学機器・OA機器)

どんな依頼も「ノー」といわずに引き受けるのがモットー

▲光学機器用精密部品(マイクロレンズ部分組鏡胴部)

▲靭帯・腱手術用機器

奈良精工には、「これをどうにか作られませんか?」との相談が多いという。「どんな依頼も、断ることはまずないですね。“わかりました。何とかします”と素直に受け取めることから始まります」と語る、代表取締役の中川氏。「お客様の困っていることを、必ず商品化できる可能性のある会社」だと、高い商品開発力に胸を張る。

「光学機器、OA器機で培ったノウハウと、幅広い設備を活かして、さまざまな業種の仕事を幅広く対応できる総合力が当社の特徴です」という同社は元々、光学機器旧ミノルタの子会社だった。「光学機器もOA機器も市場は縮小するばかり。競合メーカーに営業することもできないため、他業種を開拓していったことが今の機軸になっています」。
中でも同社が力を入れているのが医療機器だ。「ISOはもちろん、第一種医療機器製造販売業許可を取得しており、年内中にはクリーンルームも完成します」と、品質管理体制も万全。

医療機器の生産は、1996年からはじまった。歯科技工所からの歯科用インプラントの製造依頼がきっかけだったという。「最初のうちは、歯科医のニーズに応じて作っていたのですが、受注生産だけではもったいないと判断し、その後は自社製インプラントの生産にも着手しました」。
いまや歯科用インプラントだけにとどまらず、股関節用インプラントや人工股関節、手術機器などに領域を広げている。

昨年は、ばね指(弾発指)の外科手術で利用する靭帯・腱手術用機器も開発した。「ばね指の手術は、腱の部分を大きく切開するのが一般的です。当社の機器は腱を2ヶ所、2mm切って、医療用接着剤でくっつけるだけ。治療期間も短い」という自信作だ。

巡り合わせがレベルアップへと導いてくれた

▲ 歯科用の各種インプラント

ただ製品を開発するだけではなく、プロモーションにもこだわっている。靭帯・腱手術用機器の販売は、ディーラーに委託。さらに営業の説明資料として、製品のメリットを直感的に理解してもらえるアニメーションを制作した。2015年5月に開催されるアセアン最大規模の産業展示会『サブコン・タイランド』に出展する予定で「このアニメーションを活用して目新しさをアピールしていきたいですね」。

アニメーション制作は「自分たちだけでは思いつかなかったアイデアです。今年の『サブコン・タイランド』に出展したときに出会った、国家的なプロジェクトにも取り組まれている企業からヒントをいただきました。有能な企業とジョイントすることは大切ですね」という興味深いエピソードも。
「これまでにジョイントした方々との情報交換から、製品開発の方向性を見出したり、受注につながったりしています。それを積み重ねることによって、少しずつ自分たちの実績や技術のレベルを上げていくことができました」。そう語る中川氏は、経営者としての原点も、やはり、人のサポートに支えられていたという。

同社は、元々の親会社だったミノルタの事業再編で売却され、県内のプラスチックメーカーがオーナーになっていた時期があった。ところが、新オーナーが他界され、業績の悪化やリーマンショックといったダメージが重なったそうだ。「設備投資もままならず、再び売却されることになりました。しかしながら、買い手が見つからず、“私が買います”と手を挙げました。このとき歯科用インプラントの販売パートナー会社の社長が、共同出資者になってくださいました。その方に助けていただいたおかげで、仕切り直しすることができたのです」と振り返る。

開拓したら社員に任せ、全員が成長できる環境に

▲展示会で対応する若手社員

今年9月からは医療機器部が新設され、「今後は、医療関係の売上を今の倍にしていきたい」との目標を掲げている同社。そのため中川氏は、周囲の人間を驚かせるスピードで、何事も素早く決断し続ける。
「限られた情報の中でも、瞬時に判断するようにしています。判断が一日でも遅れると、あとの進行が一週間以上も遅れてしまいますから。そういった意味で、社内外には素早く情報開示をしていきたいと考えますし、前向きな経営にも結びついています」。

顧客からの依頼を素直に受け止めて、何がベターかを掴み取る。そんな中川氏のポリシーは、社員たちにも浸透しているようだ。

「どんどん開拓しては下に振っていくことで、社員たちも自ずと目が肥えてきます。お客様の意図することも見えてきて、私と同じ様な思いをもって、同じ土俵で判断できるようになる。ですから、ある程度まで話がまとまった段階で、現場に引継ぐようにしています。そういう社内環境をつくると、全員が自然と成長していきます」
この前向きな経営姿勢こそが、同社を成長軌道に乗せている原動力といえるだろう。

MOBIO担当者より

カメラを中心とした光学機器から歯科・医科用機器へと、事業領域の大転換に挑戦。「No」と言わずに自ら率先して様々な革新に成功。医科大学、行政、海外企業など多部門との「付き合いの総合力」により一層の飛躍を狙っておられました。(兒玉)

取材日:2014年8月7日(木) ライター:清野 礼子

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