ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業様・インキュベートルームの入居企業様の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!
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ものづくりは、商品が『最高の営業マン』である。
株式会社土谷金属(つちたにきんぞく) 代表取締役 土谷 育三 氏
会社名 | 株式会社土谷金属(つちたにきんぞく) |
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住所 | 〒581-0081 大阪府八尾市南本町8-4-45 |
電話番号 | 072-994-3653 |
代表者名 | 代表取締役 土谷 育三 氏 |
設立 | 1976年(昭和51年) |
事業内容 | 業務用ガスコック 業務用ガスバーナー ガス厨房部品 |
世界が認めるJIA認証基準を国内で初めてクリア
株式会社土谷金属は、業務用ガスコック、バルブ、ガスバーナー、ガス厨房部品の製造・販売を行う。設計や開発から加工、組立まで一貫して自社で行っている。代表取締役の土谷育三氏に、業務用ガスコックの現状について話をうかがった。
「世界中のガスコックは、ほとんどがヨーロッパ製か日本製です。高い安全性を確保するために、高い技術が必要ですから。当社も、暑い国や寒い国、過酷な環境下でも安全に使える機器を目指して、開発・製造を行ってきました」
ものづくり職人として、誰も作れないものを作りたいという想いでここまでやってきたと語る土谷氏。
「海外生産なら安く作れるのでしょうが、日本で作り続けることにこだわりたい。お金儲けよりものづくりの職人として、誰も作ったことがないものを自らの目が届く場所で作りたいという想いが強かったんだと思います」
少人数の企業が、世界有数の厳しい基準を備えたJIAマーク表示許可工場の基準をクリアするだけではなく、日本初の許可工場となった点からも、社長のものづくり職人としての想いの強さが感じられる。
ファンドを活用して新製品開発に挑む!ガス代を安くしたい方、手に取ってみて!!
現在土谷金属では『おおさか地域創造ファンド』を活用し、新たな技術開発および製品開発を行っている。
「現在開発している『低圧ガスハンドバーナー』は、ファンモーターから強い風を送り込み、燃焼する炎に速度を持たせる事ができます。これにより、炎はより高温になり、炎の長さは短く、青白く、食品の内部まで一気にして焼く事が可能になり、炎は食品に突き刺さるような状態となります」
片手で持つ高圧の小型プロパンボンベ方式のハンドバーナーは現在も存在するが、法律で規制されている約150倍の圧力があるため、屋内で使用するには危険だという。
「開発中のハンドバーナーはガス圧も安全、連続して使用可能です。しかも、ボンベを使わない分、ランニングコストは大幅に安くなります」
すでに試作は最終段階で、量産体制の準備を整えている段階だという。
「料理人がどの様に料理に使ってくれるのか楽しみですね。料理は下からの炎で調理しますが、このバーナーで『上からの炎で調理する』ことが可能になれば、調理に大きな革命をもたらすかもしれない。それぐらい画期的な製品だと確信しています」
そんな画期的な製品を他業界も放っておかない。厨房機器としてのみならず、ガラス細工やプラスチック成形のバリ取り、金型の焼き入れ、ダイカストの金属の熔解など、さまざまな用途で利用したいという声が届いているそうだ。この話からも『低圧ガスハンドバーナー』が、いかにインパクトのある製品かが垣間見える。
『ロンビ印』にふさわしいものづくりを続ける!
最後に、土谷金属が目指す方向についてお話をうかがった。すると土谷氏は、長く商売を続けるいう目標とともに、まもなく創業40年が経過しようとしている企業とは思えないほど謙虚に語ってくださった。
「今は、まだ会社の基礎を作る段階だと考えています。向こう10年は、あえて階段を上がることなくこのまま行きたい。商売下手と言われてもいいんですよ(笑)」
さらに、長く商売を続けるために、会社の商標である『ロンビ印』を今一度意識しながらものづくりに取り組んでいきたいという。
「『ロンビ』とは『ロングビューティフル』の略なんです。長く使える美しい製品を心美しく商売することで、お客様に喜んでいただきたいという想いを込めています。ものづくりって、商品が最高の営業マンなんですよ。良い商品ならまた買っていただけるし、悪い商品なら二度と買ってもらえない。だからこそ『ロンビ』が大事。おかげさまで土谷金属で働いてくれている息子が、この想いを引き継いでくれたら嬉しいですね」
取材日:2013年4月23日(火) ライター:中直照((株)ショートカプチーノ)
MOBIO担当者より
心美しい商売とこだわりのものづくり、そして敏腕営業マンとしての経験を持つ土谷社長から聞く「商品が最高の営業マン」という言葉が心に残りました。(担当:奥田)