MOBIO入居企業・常設展示場出展企業のスペシャルインタビュー

ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業およびインキュベートルームの入居企業の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!
※出展終了およびインキュベートルームから退居した企業の記事は掲載しておりません。

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金型の汚れが瞬時に取れる!「世界初」に挑み続ける開発型企業

ソマックス株式会社 代表取締役 冨田 和巨 氏

ソマックス株式会社
代表取締役 冨田 和巨 氏

会社名ソマックス株式会社
住所大阪市東成区玉津1-7-17
電話番号06-6976-1108
企業HPhttps://www.somax.co.jp
代表者名代表取締役 冨田 和巨 氏
設立1991年
事業内容金型洗浄、金型温調配管洗浄、金型補修溶接などの金型メンテナンス機器および専用洗浄液の製造・販売

父の教えを胸に特許取得製品を多数開発

金型メンテナンスの常識を覆した「クリピカエース」

電気分解+超音波+専用洗浄液の相乗効果で新型同様の鋼色に甦らせる独自の金型洗浄システム

幼い頃から「人がやっていないこと、世界で初めてのことをやれ」と父に言われて育った冨田和巨氏。31歳のとき、メッキの自動機を製造していた父の会社が倒産。それからは父の教えを受け継ぎ、冨田氏自ら事業をおこして、さまざまなアイデア製品を開発・販売してきた。
そんな中、世界で初めて紫外線が発生せず安全・手軽に金型の部分補修ができる溶接機「モルペット」を開発。これを機に、ソマックス株式会社を設立する。モルペットは爆発的なヒットを果たし、その後、より広い範囲の肉盛り補修ができる「モルヘイ」へと進化を遂げた。

あるとき、冨田氏は取引先の成形企業で「金型掃除が大変」という話を耳にする。実際に見に行ってみると、一晩、有機溶剤に浸けた金型を、作業員が一つひとつ真鍮ブラシでこすって汚れを落としているではないか。そこで冨田氏は超音波洗浄機を仕入れ、電気分解と、自ら配合した洗浄液を組み合わせて汚れを取るしくみを考案。取引先へサンプル機を持参し、複数の金型を一度に、しかも固着した汚れをわずか数分できれいに落としてみせた。作業員たちは顔を見合わせ、目を丸くして驚いたという。その様子を見て「これは売れる!」と確信した冨田氏は、特許を取得し販売に乗り出した。これが現在、同社の主力商品となっている「クリピカエース」である。

他社が真似できない技術力と、独自の販売戦略で差をつける

「クリピカエース」で洗浄した金型は、見た目もショット数も新型同様に甦る

最新設備を駆使して金型表面の状態を徹底解析

人体に害のある有機溶剤は使用せず、独自開発の洗浄液と、超音波+電解ガスで汚れを根こそぎ取るクリピカエースの開発技術は、父の会社での経験と知識がベースになっている。超音波洗浄は、周波数によっては金型にダメージを与える。洗浄力の強い洗浄液も同様だ。電気分解するにしても、電圧が高すぎると電流が均一に流れない。「これらの絶妙な調整によって金型にまったくダメージを与えず、まるで新品のようにきれいに洗浄する技術は、他では真似できないと思います」と冨田氏は自信をのぞかせる。
さらに、鋼の金型に対応するクリピカエースに加え、カメラレンズや液晶パネルの成形に使用されるニッケル素材の光学部材用金型用洗浄機「クリピカエースOPT」も誕生。新たな洗浄液はもちろん、電極の素材、超音波の照射方法にも工夫を凝らすなど、ここにも唯一無二の技術力が活かされている。
設備投資も妥協なく行っていて、高精度の装置で金型表面の状態を解析し、汚れの落ち具合やダメージの有無を可視化できることが品質への評価と信頼につながっている。

同社の販売戦略は、「風上から風下へ」。冨田氏は事業をスタートさせたときから大手企業にDMを送り、地道に販路を開拓していった。開発・製造・営業・納品をすべて1人で行っていた当初は、寝る間もなく働きづめだったという。苦労の甲斐あって、今では国内の名高いメーカーが同社の製品を採用。プラスチック成形メーカー、金型メーカーを中心に、ゴム成形・プレスメーカーなど、これまで8000社以上と取引してきた。「あの会社が使っているなら」と注目されることも増え、海外への売り上げも伸びているほか、今後は中小企業にも裾野を広げていきたい考えだ。
装置(洗浄機など)と消耗品(洗浄液など)の両方を扱っていることも、安定した利益をキープできている理由といえる。

大型機にも対応する新工場が完成!広く認知される企業をめざして

「マジックを見たときのように、お客様を驚かせて喜ばせたい」そう語る冨田氏にとって、目に入るものはすべて「新しい何か」を生み出すヒントになっている。その発想力と、問題点や困り事を察知する鋭い観察力によって、金型の補修溶接機、金型洗浄機のほかにも、金型冷却管専用除錆機など新製品を次々と開発してきた。また、研究・開発・製造・販売だけでなく、効果的な販売促進資料の作成も自社で行っている。
もちろん開発型企業としてのポリシーは従業員にも受け継がれていて、最も要となる洗浄液の開発技術は幹部社員が引き継いでいるほか、「他社がやっていないことをやる」という視点で今ある装置のグレードアップにも社員一丸となって取り組んでいる。2023年には大型の金型洗浄機に対応すべく、新たな工場も開設した。
「私たちの技術は金型に限らず、例えば医療用の器具を清潔に保ったり、料理で使う包丁の脂肪汚れを落として切れ味を復活させたり、フォークの隙き間に入り込んだ汚れを落としたり、さまざまな分野に活用できます。当社の製品を一般にも広く普及させ、『ソマックス』の名前を知ってもらうことで従業員が誇りを持って働ける会社にしたい」と冨田氏。次はどんなマジックを見せてくれるのか、あっと驚くアイデアに期待したい。

新設された高井田工場。品質につながる整理整頓、礼儀やマナーも徹底指導している

MOBIO担当者より

企業設立以来「変革と挑戦」を継続してこられた「開発型企業」がソマックス(株)さん。付着した汚れだけでなく金型本体の傷みも見分け、困っている顧客に解決策を提案できるのが強み。さらなる事業拡大へと、金型の大型化や高精度洗浄など、市場変化への対策を着々と実施。そこには、課題解決の研究・開発に邁進される冨田社長の熱い思いが息づいていました。
MOBIO 兒玉

2025年2月6日(木) ライター:成田知子

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