ものづくり中小企業の変革と挑戦を支援しているMOBIOでは、MOBIO 常設展示場出展企業様・インキュベートルームの入居企業様の「 変革と挑戦 」について、取り組みのきっかけ(背景)、 具体的な内容などをインタビューしご紹介していきます。ここにはヒントが沢山詰まっているはずです。 じっくりお読みください!
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自由な発想で課題を解決。自社商品の開発に挑み続ける。
有限会社サイバークラフト 代表取締役 尾崎 教仁 氏
会社名 | 有限会社サイバークラフト |
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住所 | 大阪府寝屋川市松屋町20-33 グランドリヴィエール 5F |
電話番号 | 072-802-5220 |
代表者名 | 代表取締役 尾崎 教仁 氏 |
設立 | 1999年 |
事業内容 | 計測制御装置、各種検査装置、IoTシステムの開発 |
プロ集団が顧客のニーズに寄り添う企画開発で、課題を解決。
1999年、尾崎教仁氏は脱サラし、3人の技術者仲間とともに有限会社サイバークラフトを設立。若い有能なコンピュータ技術のエキスパートたちが、計測制御装置開発をメインとして第一歩を踏み出した。プロ集団の誕生だ。以来、サイバークラフトは柔軟なアイデアで様々な現場の課題を解決し続けてきた。そのレンジは多岐にわたる。コンピュータ関連装置の受託開発を主軸に、企画、開発からシステム設計、ハードウェア開発、ソフトウェア開発はもとより試作、量産、環境試験まで、ありとあらゆるニーズを高い技術力でサポート。
2011年には、「大阪ものづくり優良企業賞2011」を受賞。名実ともに、同社の「高い技術力」と「高品質、低コスト、短納期」といった顧客目線に立った企画開発が評価されたと言っていい。顧客がコンピュータ制御システムに求めるものは、それぞれの企業や現場によって様々だ。お客様の声を聞き、どこに課題があるのかを考え、最適解のシステムを考案する。確かな技術力に裏打ちされた柔軟な発想が、それを可能にしてきた。
今、最も力を入れているのが、「AQフリッカーテスター」だ。これは、摂南大学理工学部が研究開発した「AQフリッカー」という精神疲労・身体疲労の管理システムを、より使いやすくカスタマイズした製品である。AQフリッカーとは、人間の疲労は目に現れることに着目した疲労判定管理システム。大学発のテスターはパソコンと装置をつなげて検査する仕様のため、どこでも気軽に使えるものではなかった。それを同社は、文庫本サイズのモバイル型に改良。SDカードでデータを管理するので、例えば、バス運転士の疲労測定なども現場で日常的に実施し、データを本部で一元管理することができる。実際に使う顧客の視点に立ち、使い勝手の良さを追求した結果だ。
新しいアイデア、自由な発想が、サイバークラフトのDNA。
プロ集団サイバークラフトを率いる尾崎社長は、展示会への参加を通じて、多くのことを学んだそうだ。会社設立5年目で、展示会へ積極的に参加しはじめたが、同社は企画開発をメインとしていたため、展示会でアピールできる商品がない。しかたなくカタログを並べたものの誰も興味をもってくれない。そこで、自社商品開発に乗り出す。無線による計測システム、4ch小型データロガー、倉庫IoTなど、これまでに10点近くの自社ブランド商品を開発してきた。展示会に出品することで、「これに、○○○の機能を付けることはできないか」とか「こういう場面で応用できないか」といった顧客の声を聞くことができる。自社開発商品なので、カスタマイズは容易だ。「展示会はマーケティングの場でもあるんです」と尾崎社長はいう。
そんな自社ブランドの開発に欠かせないのが、自由な発想だ。サイバークラフトを語る上で、「自由」はキーワード。「新しいモノを創造したり、考えたりするには、固まったらあかん。自由でないと、発想は生まれない」と言い切る。自社商品開発会議では、経済ドキュメンタリー番組の録画を視聴したりすることもあるという。
尾崎社長は、よく経営者仲間から「いつもニコニコしていますね」と言われるそうだ。オンラインでのインタビューでも画面越しの社長は、笑顔を絶やさない。「経営者が難しい顔をしていても、何も良いことはない」というのが信条。お客様はもとより、社員にも笑顔で接するように心懸けているのは、創業時からずっと大切にしていることだ。ウチはシステム開発の会社だから、開発のモチベーションを上げるのが、私の役目。会社は社員で作っていくものですから、と。
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化に対応できる者である」『進化論』のダーウィンの名言だ。尾崎社長は、「世の中の波に乗っていかな、あかんねん」という。変化をおそれず、自由な発想で変化を楽しむ。「新しいアイデア、自由な発想」は、サイバークラフトのDNAの根幹と言ってもいいだろう。
めざすは、メーカーになること。チャレンジは続く。
これまで、顧客の要望に寄り添って、数えきれないほど様々なモノを作ってきた。広く浅く多岐にわたり、多種多様なものを開発してきた。その経験は財産でもあり、誇りでもある。
受託開発は、クライアントのニーズに合わせたものを作るから、毎回、違うものを作ることになる。社員にとっては、いろんなことができるので、仕事のオモシロさにもつながる。
でも、それだけではダメだ。夢は自社ブランドを持つメーカーになること。
まだ、『これや!』というものを見つけられていないんです。と、尾崎社長はいう。
現在、受託開発が業績の9 割を占める。受託開発と自社ブランド製品との比率を、現状の、9:1から5:5いや、それ以上にもしていきたい。チャレンジの炎は、いつでも自由なアイデアと共にある。
2021年7月8日(水) ライティング:有限会社 中島事務所
MOBIO担当者より
ものがどういう動きをしているか、思った通りに動いているかを見るために計測が必要で、思った通りに動かそうとすると制御する必要がある。この開発を得意とする同社は、計測制御の固いイメージとは真逆。超がつくほど自由度の高い社風でした。(MOBIO奥田)