「大阪ものづくり優良企業賞」とは、大阪府内のものづくり中小企業を対象に、「技術、QCD、財務、CSR」の４つの視点で審査を行い、総合力が高く市場で高い評価を得ている優秀な企業を表彰する制度です。受賞企業は、大阪府が発行するものづくり企業紹介冊子「大阪の元気！ものづくり企業」に掲載し、大規模展示商談会でプロモーション活動を行うなど「大阪のものづくり看板企業」として広くご紹介します。
このページでは、これまでに受賞された企業にインタビューし、受賞後どのような変化があったか、どんな風に匠ロゴマークを活用されているかなど、今後、賞への応募を検討されている企業様に参考になる情報を掲載しています。
株式会社レイホー製作所【カーボングラファイト（黒鉛）製品の加工・表面改質処理など】
代表取締役社長 田中喜佐夫氏
当社が扱う耐熱特性カーボンの業界では、大手との取引に至るにはかなりの営業力、技術力、コネクションを要すると悩んでいました。しかし匠受賞を機に多くの問い合わせや面談があり、大手のグループ企業との接点もできました。また地元、摂津市や近隣市の異業種とも交流する機会が増え、今まで目を向けていなかった分野での新しいニーズを見出す可能性を感じ、ワクワクしています。
当社は顧客に密着して本音のニーズを掴み、解決に向けて、あらゆる材料や技術の組み合わせを粘り強く提案することが強みです。従来は高温領域の耐熱性や機能性を求める顧客に特化していましたが、受賞後の幅広い交流の中で中温領域にもニーズがあるとわかり、新分野の顧客開拓に取り組んでいます。今後は他業種技術ともタイアップし、それぞれの特色を生かした、新たな機能製品を生み出す窓口のような役割も担いたいです。
扶桑精工株式会社【ガラスびん用金型、プラスチック用金型の製造・販売】
取締役 大平昌宏氏
匠マークを社屋の入り口に設置しており、来客の際に受賞と絡めて技術PRに活用しています。休眠顧客にも、匠受賞の連絡をきっかけにアプローチができました。また二次選考での工場審査の際、改善が望まれる箇所のご指摘もいただき、客観的な視点で新たに見直すべき場所を知る機会にもなり、身が引き締まる思いです。
ガラスびん金型事業では材料の鋳物材から内製することで、圧倒的な強みを有しています。プラスチックの射出成型金型も手掛けており、この分野の技術を応用した水路洗浄機を開発しました。ご利用いただきやすいよう初回デモ無料となっており、このメンテナンスツールをきっかけに当社の技術をご理解いただき、プラスチック金型の受注拡大につなげたいと思っています。
株式会社大同工業所
【血液用冷蔵庫をはじめとする医療機器製品、防爆冷蔵庫および恒温槽等の防爆製品の製造・販売】
代表取締役 大桐伸介氏
匠受賞を皮切りに、近畿経済産業局「2011 KANSAIモノ作り元気企業100社」に選出、「はばたく中小企業・小規模事業者300社」で経済産業大臣表彰、2019年には前代表が中小企業評価叙勲として旭日双光章を受章しました。ニッチな産業分野ながらご注目いただけたことは、お客様から評価いただけるだけでなく、従業員のモチベーションアップにもつながりました。
血液保管機器、防爆機器、水処理試験器など、ニッチかつオンリーワンな製品を手掛けています。匠受賞後はJICAなどの官民連携事業に採択いただき、ミャンマーやラオスといった東南アジアで血液製剤の保管輸送体制整備に取り組んでいます。現地医療に貢献しつつ、東南アジア、さらに中央アジアまで見据えて積極的な販路拡大をしていきたいと考えています。
株式会社Ring【金属プレス部品、プラスチック成形品の製造】
取締役統括部長 大浦直人氏
営業部産業資材課 課長 宮木秀幸氏
当社は設計・試作から量産までの完全一貫生産が強みですが、多様なサービスゆえにすべてを網羅した説明が困難でした。しかしサービスそのものを評価いただいたことで、アピールしやすくなりました。これをきっかけにショールームを設けるなど、お客様へ積極的に発信できるようになりました。中国、ASEANのグループ工場でも、現地の企業賞を獲得してアピールのノウハウにしようという動きが出ています。
金属プレス金型、プラスチック成型金型を同工場内で設計し、製品製作・組み立てまで行える一貫生産システムを提供しています。今後は技術力やサービス面、海外にも拠点を持つ企業規模などをより広く発信し、大阪府が誇れる企業となるようブランディングにも力を入れる予定です。また同じ受賞企業の中にはお取引のある企業もあり、横のつながりで互いの得意分野を生かしたコラボレーションも展開したいと考えています。
株式会社河辺商会【プラスチック成形（超薄肉成形、2材複合成形など）】
代表取締役社長 福田康一氏
従来から技術力を強みとして営業活動をしてきましたが、新規営業の際に技術力部門賞を受賞した塗装レスの技術を中心にプレゼンすることで、より企業価値を高めたかたちでアピールできていると感じます。展示会や会社ホームページでは匠マークを活用し、営業時だけでなく求人など様々な場面で企業価値をアピールし、成果につなげられています。
塗装なしでも美観を保てるプラスチックの射出成型、3種の樹脂を金型内で成型・固着させる3色成型、意匠性を兼ね備えた薄肉成型など当社独自の技術を背景に、国内・海外の大手自動車メーカーをはじめ幅広い企業とお取引いただいています。まな板とプレートを兼ねた「CHOPLATE」などのBtoC展開、大阪府の支援を得て開発を進めているIoTヒートアンドクールなど、新たなテーマで常に開発を進めています。
株式会社源邑光北野刃物製作所【壁紙施工用具や外装用施工道具の企画・製造・販売、一部輸入販売】
代表取締役社長 北野朋宏氏
関東を中心に店舗展開している大手ホームセンターから、当社ブランドを前面に押し出した形で商品を置いて欲しいとご依頼をいただきました。こうした接点がなかった地域、企業からのお引き合いは、受賞したことで皆様の目に触れる機会が増えたことの賜物です。補助金申請の際も、受賞経験があるということで企業としての信頼を担保できているかと思います。
オリジナルの設備の導入や、特殊鋼を扱うなど、他社製品との差別化を意識しています。金ベラの柄と金属部分の両方を一貫生産しており、量産品から特注の一点物まで幅広く対応。SNSを通じて現場の職人から直接要望が届くケースでも、個々の要望に応じた製品を実現しています。現在ドイツ企業と輸出に向けて商談中です。今後は個々のニーズに応えられる技術を生かして海外展開も視野に入れています。
有限会社シンメ【ブックカバー、ペンケースなどい草製文具、雑貨の製造・販売】
取締役社長 眞目祐治氏
受賞後は催事やポップアップショップ等への販売機会が増え、百貨店のバイヤーからもお引き合いをいただくようになりました。受賞当時はBtoC製品の開発を始めたばかりの頃でしたが、一般消費者の目に触れる場が増えたことでECサイトの動きも活発化したように思います。また受賞したことで改めて当社の強みを見つめ直すきっかけとなり、催事販売の際も特色を明確に打ち出してPRできるようになりました。
い草製文具と雑貨の企画・製造・販売を一貫して自社で行い、高品質かつ安定した供給が可能です。少ロット対応可能。ノベルティやオリジナル商品の製作も承ります。今後は海外からのお引合いへの対応強化が課題です。またい草農家や関係業種と協同し、需要減少しているい草や畳の新たな需要創出に貢献し、い草産業の持続可能な産業化に貢献したいと願っています。
株式会社大成モナック【機械部品製造・販売、工業用モデル製造】
代表取締役社長 中西 勇氏
取締役管理本部長 永沼雅己氏
名刺に匠マークを印刷しており、名刺交換の際にお客様から「どういう技術で受賞したのか」とご質問いただく機会が増え、優良企業と認知していただけると同時に、スムーズに当社の強みについてPRできています。東京の展示会でも、大阪は独自の顕彰制度があると話題のネタになりますね。匠マークのバッジも製作し、企業PRに活用しています。
当社には2つの事業部門があります。独自の注型技術、高精度の塗装技術を有し、スケッチ、データ、現物のどの段階からでも完成度の高い試作モデルを製作できる工業用モデル部門。汎用エンジン、小型屋外作業機械の部品供給から、製品の共同開発、委託生産も請け負う機械部品部門。それぞれまったく違う分野ですが、今後は2部門の強みを融合させて、新分野の顧客開拓を展開したいと思います。
有限会社スイサク【騒音・振動減衰材料ラスクの製造販売】
代表取締役 櫂谷雄一郎氏
匠を受賞したことで、いろんな企業と繋がって開発案件を増やし、売上を伸ばしていきたいです。「振動騒音を抑える問題解決の匠」としてもっとラスクをPRします。
防振と吸音特性がある金属素材ラスクを開発、販売しています。振動・音・光・電波について、この素材の作り方を生かした商品開発・問題解決を行っており、例えば、スイサクのスピーカーは「ラスク」で振動を抑えると再生音の濁りが消えスピーカーの音が究極にクリアなるという発想で開発しました。主な事業は、調査から対策製品納品の問題解決まで一貫して出来る、工場、機械の振動騒音対策です。この素材をまち中の工場などで活用してもらえれば、騒音のトラブルも抑えられます。環境に応じて大きさやサイズを変えて納品できます。
トワロン株式会社【金網材料の製造】
専務取締役 藤本和隆氏
匠の受賞は、大阪のものづくり企業としてしっかりした提案をしたいという気持ちになります。「匠」のマークで、他社とのコラボを積極的にしていきたい。今後は、自動車部品の製造や、0.3mmより細い製品で医療分野にも進出していきたいと思っています。
錆びない強さ「TOWARON」。錆びない接着剤で焼き付け加工し、被覆をすることで耐久性が増します。高速道路やスタジアムなどのフェンスに作用されています。
タナベウィルテック株式会社【産業機械製造】
代表取締役社長 田邉浩康氏
取締役管理本部長 富永泰一氏
企業としていいところは、会社にいるだけではわからない。匠受賞はそれを気付かせてくれ、社員一人ひとりが誇りに思えるようになっています。名刺に「匠」マークを入れていると、海外でこのマークはなんだと、尋ねられることもありました。営業にもどんどん活用したいと思っています。
産業機械の製造、主に薬品製造関係の遠心分離機、簡単に言うと固体と液体を分離するものです。ほとんどがオーダーメイドなので、お客様との打ち合わせを大切にしています。
東洋水産機械株式会社【水産加工処理機械の開発製造】
代表取締役 塚越智頼氏
私が社長就任前、匠応募の際に、「会社のあゆみや強み」をまとめていると、普段は気にしないで仕事をしていたのが、改めて「すごい会社なんだ、強みがあるんだ」と思い自信も増しました。今日のようなフォーラムでの交流はとても刺激があります。これから積極的に名刺にマークを入れて交流したり、企業同士のお話も参考になると思っています。
水産加工機械の技術には自信があります。長年携わった経験が今の技術に生きています。
匠を受賞したことは社員にとっても、誇りになっています。（繁原取締役）
助けてもらわん事にはうちだけではやっていかれへんから。それと匠は頑張ってうちが広めている。（と芦田社長は豪快に笑っていた）
EV（電気自動車）の設計・開発・試作が中心の弊社TGMYが、繁原製作所にEV用ギアボックスの開発を相談したのがきっかけで、2社のコラボが始まりました。（芦田社長）
（このとき芦田社長が積極的に動き、繁原製作所が素早く対応して実現した）
その後、EV向けの減速機をうちが開発。ファブレスでもアイディアでぐんぐん引っ張ってくれるTGMYさんと、どんな要求にも技術で応えられる弊社とのベストマッチは匠企業同士のおもしろい例です。（繁原 取締役）
株式会社奥田【機能性フィルム・紙の製造】
大阪工場長 水野真吾氏
匠の受賞については、これからPRに活用していきたい。新規の取引先との接点が少ないので、名刺にもロゴを入れて口コミで広がればと思っています。
紙や機能性の高いフィルムの断裁加工で、お客様の用途や加工のニーズをくみ取り、世の中にない新しい製品を作っています。オーダーに合わせて、タイ、中国、フィリピンなどの海外展開も積極的にしています。
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