電気・高温・真空・材料の技術で日本の製造業に貢献
昭和23年の創業以来、電気をエネルギー源とした工業加熱の技術によって日本の製造業の発展に寄与してきた富士電波工業。80年代のファインセラミックスブームに対応して、黒鉛ヒーターを用いた抵抗加熱式雰囲気焼結炉やホットプレス炉をいち早く世に送り出した。以来2,000℃以上の超高温炉の分野で高いシェアをもち、近年ではLEDや二次電池の材料の製造過程で超高温炉が使用されるなど、新たな高付加価値分野に用途が広がっている。とりわけ、特殊金属、ファインセラミックス、カーボンなどの高付加価値材料分野の顧客に求められているのが、誘導加熱炉や真空・加圧焼結炉などの電気炉。研究開発から製品の量産まで様々なシーンで活用されている。また、自社製高周波誘導溶解炉を用いてステンレス鋳造品の製造事業も営んでいる。「和と挑戦」を企業理念に掲げ、目先の利益よりも困難な技術課題への挑戦を重視し、顧客の細かな要望に応じた製品のカスタマイズにも積極的に対応する。同社製高温炉の主なユーザーである日本の大手素材メーカーは新素材開発で世界をリードしているが、今後も日本企業のさらなる競争力向上に貢献していきたいと考えている。
使用温度2,000℃~2,300℃をクリア
ファインセラミックスに代表される無機材料の焼結や、金属材料の熱処理、溶解が主な用途。実験室用の小型炉から生産用の大型炉まで、バッチ炉、連続炉ともに設計製作が可能であり、誘導加熱と抵抗加熱の両方の電気加熱技術を保有している。また大半の機種で常用2,000℃、最高2,300℃をクリア、誘導加熱式では最高使用温度3,200℃の実績もあり、2017年には抵抗加熱式でも3,400℃超高温炉の開発に成功した。試料を高温加熱しながら機械プレス荷重をかける「ホットプレス炉」でも高いシェアを誇る。多目的高温炉「ハイマルチ」は無機材料研究に必要な試験片作成機として業界での標準として使用されているほか、同社独自のタンク仕様である前割型真空タンクは、試料の装填、取出しが容易でメンテナンス性に優位性があるという。また炉内温度の均一性(均熱性能)に優れ、炉内温度2,000℃の状態で上下10℃以内の均熱を実現。最高で上下2℃の製作実績もあり、高真空・高圧雰囲気制御の実績が豊富であることも強みだ。
大学・研究所からの要望により新素材開発にも貢献
大学や研究所からの依頼にも積極的に対応している。素材分野の最前線の技術者と二人三脚で製品開発に取り組むことができるため、研究段階から製品開発へ発展する際の装置にも対応する。また健全な財務体質を築いており、耐用年数が長い電気炉を製造・販売しているメーカーとして顧客からの信頼も厚い。さらに、新素材開発に注力する顧客企業は機密保持を特に重視するが、同社は国内を中心に販売を行っていることから、炉のノウハウ流出を懸念する日本企業から信頼されているのだという。近年、半導体製造装置用の部材等の市場が活況であるため、同社への高温炉の発注も相次いでおり、工場の拡張など生産能力の増強を進めている 。全固体電池や蓄電池等の新しい分野でも同社の高温加熱技術が活用されるよう、技術高度化に取り組んでいく考え。また、設備寿命監視システムなどの機器やサービスを開発中で、日本の製造現場の人手不足解消にもアプローチする。
社員の仕事のやりがいを高めるために制定した「電気・高温・真空・材料の技術で『ものづくりの環』をつなぐ」という企業ビジョンを、今後は新事業分野開拓のコンセプトとしても活用していくことが目標だ。高齢化や人手不足が深刻化する大阪の「ものづくりの環」の軸として貢献していくという熱い思いを持つ同社は、今後ますます協力会社等との連携を強めていくという。
富⼠電波⼯業
株式会社
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代表取締役社長横畠俊夫
- 住所/⼤阪市淀川区新⾼2丁⽬4番36号
- TEL/06-6394-1151
- FAX/06-6394-1156
- 創業/昭和23年9月
- 設立/昭和23年9月
- 資本金/3億3,650万円
- 従業員/135人
- HPアドレス/http://www.fujidempa.co.jp/