一見してバネとわかる形状のものから、銅線と見間違えるような精密な製品まで、同社のバネは多種多彩。バネ本体と土台部分の加工のほか、組み立ても行う。バネの変形で生じる力を利用して、対象物を固定する特性が評価され、大手電機メーカーが生産する家電のほか、二次電池にも採用される。
昭和28年の創業以降、家電産業の成長とともに、最新鋭の設備を導入しながら規模を拡大。増産ではなく、現在は生産効率と技術力の向上を目的にした設備投資に力を入れている。
線径0.1mm〜4.0mmまでの線バネ加工や板厚0.15mm〜1.0mmまでの絞り製品を得意とし、プラスマイナス0.03mmの精度を持つ順送りプレス加工技術も強みのひとつ。同社では、1個の試作から100万個の量産品まで幅広く対応する。また、タングステンやチタンなど硬度が高く、加工が難しい材料にも果敢に挑戦する姿勢が、大学の研究所からの試作依頼などを呼び込んでいる。30代、40代の社員が、こうした高度な技術を要する仕事に取り組むことで、多くの企業が抱える技能継承を進めている。
取引先からの信頼を得るため、バネ技能検定の取得を推進する制度を設けている。試験費用は会社が負担し、合格者には報奨金を支給することで、取得率は約80%に上る。月1回程度の部品用途勉強会を開催し、取引先を交えて勉強会を開くこともあり、製品の中で果たすバネの役割を再確認する場として活用する。
現在は、主力製品のバネ製造技術を活かし、環境エネルギーや医療分野への展開を目指す。両分野に取り組むため、新規設備の導入も視野に入れ、さらに職人と機械の調和を課題とし、作業の省力化を積極的に進めている。青戸社長は、「コスト競争力を高めるため、できるだけ無人化生産をめざしたい。」との想いから一人あたりの稼働設備を3台〜4台にした。ヒューマンエラーの予防策として、複雑な検査に対応できる測定器や省力機器を導入している。
葵スプリング株式会社
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代表取締役社長青戸 隆章
- 住所/〒581-0037 大阪市八尾市太田7-18
- TEL/072-949-8801
- FAX/072-949-8802
- 創業/昭和28年3月
- 設立/昭和31年3月
- 資本金/2,400万円
- 従業員/33人
- HPアドレス/http://www.aoi-spring.co.jp/