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ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
現状打破のヒントやモチベーションアップにつながります。
ムラのない光を実現したLED照明で
さらなるビジネスの拡大を目指す。
LED照明の普及が進んだこの10年。成熟期を迎えつつあるこの市場を、今にぎわせている製品がある。その名も「輝烈(キテレツ)」。販売実績もまもなく100万球に届くという大ヒット商品だ。ヨーホー電子株式会社がつくりあげたこの薄型面発光LEDは、ロードサイドの看板、店舗、地下鉄の行き先表示板などに広く採用されている。自社でレンズ設計をおこない、面照度を均一にするレンズモジュールを開発。これにより内照式看板や間接照明でムラのない面発光が可能に。また通常LED直上から発光面までの距離が100mmのところ、75mmという他社より近い距離で均一発光する、照明の可能性を広げる製品だ。
同社は1988年の創業。本業はプリント基板の設計・実装・組立、LED製品の開発・製造・販売。2000年頃までは実装がメインで業務の9割近くが大手企業向けだったが、生産の海外シフトなどの影響を受けた。そこで多品種少量生産に切り替えて、産業機器などの需要を開拓。多岐にわたる業種の仕事をこなすなかで、蓄積されたノウハウを結集し、光源の回路設計からすべて自社で手がけた「輝烈」を開発する。製品が認知されるまでは時間がかかったが、国産の信頼性と自在な設置方法が知れ渡り、最近は名指しで問い合せがある。それによって提案も通りやすくなり、本業の基板でも広告業界や建築関係から声がかかるなど、相乗効果が生まれている。
プリント基板の実装も、内蔵される製品の小型化と高性能化にともない高密度化が進むが、そういった最先端の製品に小ロットで対応できることでさまざまな需要に応えていきたい、と辻吉典代表取締役は語る。「1個からの注文でも対応できる設備と、かつての量産に対応したラインを同時に走らせることができるのは基板の世界では珍しい。どんな変化にも対応できる体制を整えています」。そんな辻氏が考える次の一手とは。「製品のブランド力を使って、会社の名前を売っていきたい。当社で何ができるかを知らしめて、本業の実装・組立関係と結びつけられたら、企業としてさらに前進できるはず」
>紙面からの続き
販売から3年で、社内売上の2割を締めるほど伸びている「輝烈(キテレツ)」。この遊び心のあるネーミングは、テレビ番組『キテレツ大百科』の主人公からアニメ好きの社員が命名。社内公募で採用された社員にはノートパソコンがプレゼントされたという。ほかにも屋外LEDユニット「明輝(メーテル)」という製品もある。「ちょっとアニメに寄り過ぎかなという声もあるのですが(笑)。個性的な名前だからこそ、一度で覚えてもらえるメリットもあると思うので」(辻氏)。またこれまで製造してきたプリント基板はいわば半完成品であり、一生懸命つくっても社員はどこで使われているかわからなかった。対して「輝烈(キテレツ)」は使用情報が入ってくるので、街を歩いていてもドライブしていても見かけるし、家族にも自慢できる。それが社員のモチベーションアップにもつながっている。
ヨーホー電子株式会社
http://www.yoho-denshi.com/
門真市四宮6-6-46 TEL 072-881-6355