MOBI6
ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
現状打破のヒントやモチベーションアップにつながります。
「世の中に絶対必要なものを
つくっている」という自負。
照明業界は近年、バブル崩壊やリーマンショックとは別に、大きな変革の波に飲み込まれた。LEDへの切り替えだ。英光ライティングの染谷英太郎氏が代表取締役社長に就任したのは、まさにそんな時期。同社は1955年に南海商会として開業以来、照明器具設計・製造の専門メーカーとして歴史を重ねてきた。「苦しいなかで設備などを切り替えて対応してきた就任時から、自社製品をつくりたい想いはありました」と染谷氏。そうして住宅用に非常照明の開発を進めていたところ、医療用照明の相談が持ちかけられた。求められる用途や機能が開発を進めていた製品と一致したため、2ヶ月で完成したという。
医療用照明とはどんなものか。たとえばMRI装置からは大きな磁場が発生しており、磁場を乱すものを身につけていると画像が悪くなる。またMRI検査室の照明には、安定器から発生するノイズの影響で蛍光灯が使用できず、省エネ性の低いハロゲンランプを使わざるを得なかった。それに対して同社が開発した「E-shineシリーズ」は、超薄型医療機関用非磁性体LEDダウンライト。非常時でも2ルクスの明るさを保ちながら48時間以上点灯可能で、防磁設計の狭小空間である手術室や集中医療室に対応する超薄型を実現。これらはゼロベースから開発した。
同社には施設向けに殺菌灯や階段通路誘導灯など、特殊品生産を積み重ねてきた開発力、そして設計・開発から一貫生産するため1ミリ単位で変更可能な対応力もある。その技術力が認められ、現在E-shineシリーズは、東大病院や赤十字病院をはじめ国内300ヶ所の医療機関で使用されている。
同社は照明器具メーカーだが、その事業内容は多岐にわたる。照明コンサルタントの資格を持つ染谷氏は、これまでも新梅田シティの空中庭園をはじめ、ホテルやレストランにおいて光の空間をプロデュースしてきた。ものづくりで大切にするのは、「まだないものをつくること」。そう語る染谷氏が、思い描く会社の未来像とはどんなものか。「働きたい会社にすること。製造業でそれを叶えるのはむずかしいが、そこを目指して頑張りたいです」
>紙面からの続き
英光ライティングでは7年ほど前から障がい者雇用にも積極的に取り組んでいる。「あるときNPOの人が来て、雇用をお願いされたんです。いいですよと二つ返事をしたらとても驚かれました」。その担当者にとっても即答、快諾されたのははじめてらしく、「生涯忘れない経験だ」と言われた。それをきっかけに、現在も1人が在籍して組み立ての仕事に従事している。「採用して5年目で、事業所を離れたため正確には障がい者雇用には当てはまりま
せんが、普通に雇用しています。一般の労働者と障がい者が分けへだてなく働ける環境が、絶対必要だと考えています」(染谷氏)。また就業前訓練にも協力しており、事前に社員にレクチャーして彼らの特性を理解した上で受けいれられるようにしている。
現在、下は20代前半から70代までの21名の社員に対して、「定年は自分で決めて欲しい」とも。実際、3年前まで84歳の社員が現場で働いていた。「生涯、正社員で社内のどこかに所属できる、そういう会社にしたいですね」
英光ライティング株式会社
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