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ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
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世界初の「ネット消臭」
香りで誤魔化さない消臭を。
ニオイとは微妙なものだ。騒音のように法的規制があるわけではなく、ひとによって感じ方もさまざま。そんなニオイの世界に新たな活路を見出したのが、建設業である富士ネット工業。ゴルフ場や学校で見られる緑色のネットの販売・設置を中心に展開してきた同社では、主力商品であるこのネットに付加価値をつけ、自社製品化することを目指した。また「住環境を改善し住みよい空間へとリノベートするなかで、さまざまなニオイと直面してきました」と語る関連会社プラストの代表取締役社長の和田守氏。両社はネットに消臭液を染み込ませて消臭する商品開発を考え、平成29年経営革新計画に承認された。商品化やブランディングは、なにわマーケティング大学に通って勉強した。
最初につくった製品「デオプラスト」は1m×1mのネット。網に含まれた消臭成分が周囲のニオイの原因を吸着分解、ニオイの元からすっきり消臭する。アンモニア、酢酸、足のニオイの原因物質、イソ吉草酸アルデヒド、ノミナール(加齢臭)などで際立った消臭効果を発揮した。ニオイのもとにネットをかけるだけ、と汎用性が高く、多くのシーンで使用が想定された。しかしこの「何にでも使える」メリットが、「逆にどう使っていいかわかりにくく、販売のネックになりました」と、営業部の今津達夫氏は振り返る。
求められているのは「何を消臭するか」という提案。しかも世の中には消臭商品は多く出回っているなか、後発の商品には既存品にはない特色や、同社らしい「ネットである必要性」が問われる。またモニタリングの結果、「効果は高いが、デザイン性が欲しい」という意見から、デオプラストを原材料として靴・小物用と洗濯排水用に特化した商品をつくることに方向転換。試行錯誤の末に生まれたDEOMON(デオモン)は、ストーリー性のあるネーミング、可愛くて目を惹くパッケージに。今年1月にはテストマーケティングとしてクラウドファンディングに挑戦。目標額を達成し、手応えも実感できた。既成の製品とニーズを掛けあわせ、生まれ変わった商品が会社を大きく前進させる。
>紙面からの続き
「なにわマーケティング大学2018」には、和田社長や今津氏だけでなく、社員7名全員で参加。商品開発の基礎からやブランディング、販路開拓までを学んだ。「今まで意識してこなかったマーケティングとか販路の重要性について、あらためて考えるいい機会になりました。戦略を練ることの大切さを実感しましたね」(和田氏)。そうした刺激は社内にも持ち込まれ、その後も社内で勉強会を開催されるなど、マーケティングを重視するものづくりは社風として浸透しつつある。
また同期生が立ち上げた「なにわマーケティング学び合い塾」にも参加。いろんな業種の人が集まって困りごとを解決するなど、今も継続してマーケティングについての認識を深めているという。
株式会社富士ネット工業
http://fujinet-ind.com/
大阪市此花区西九条2-7-18 TEL 06-6466-3450
プラスト株式会社
http://www.plust-ind.com/
大阪市此花区西九条2-7-18 TEL 06-6466-3485