MOBI6
ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
現状打破のヒントやモチベーションアップにつながります。
誰もが熱意をもって働ける環境づくりこそ、未来を拓く。
Made in JAPANにこだわり、高度な技術が求められるデザイナーズの商品を永年つくり続け、その繊細な仕事には定評のある株式会社サカタ。1960年に創業し、レディースの鞄やハンドバッグ、財布など革製品のメーカーとしてものづくりを続けてきた。代表取締役社長である坂田茂雄氏は「当社のような小規模な会社で、型紙作成から製品化まで一貫してできるところは少ない」と胸を張る。国産の革製品を取り巻く環境が厳しくなるなか、同社は10年ほどで大きく変化を遂げた。
まずは長年男社会であった業界において、女性ならではの企画力を見込んで積極的に女性を採用。同社は95%がOEMだが小売店との直取引で、革の手配からものづくり全般までまかされている。この女性スタッフの存在がOEMのみならずODMにも目を向けるきっかけとなった。現在10名を超える女性スタッフは子育て世代も多いため、週4日9~16時というシフトを可能とし、デザインやCADなど在宅可能な分野はテレワークでつないだり、フルタイムで働けない場合は1日数時間、週数回でもOK。「彼女たちの仕事に対する意識はとても高い。家事や育児で時間の制限があるなら、私たちが柔軟に対応すればいい。子育て世代の人たちが働きやすい形をつくり、5年後、子どもの手が離れたとき、うちの仕事に深く関わってもらえれば」。そんな働きやすい環境づくりが功を奏し、職人も若手から60代の熟練まで活躍している。
またCAD/CAM自動裁断機をはじめ、積極的に設備投資をおこなってきた。今年度の経営革新計画で採択されたUVプリンターは色の再現、グラデーションの表現も素晴らしく、シワ加工の光沢系や黒地といった難しい革素材にも、印刷することができる。さらに革自体にも工夫を凝らし色落ちもしない。年末には吸塵機能付きの革漉き機、特殊ミシンなどを新たに導入予定だという。女性採用と働き方改革による戦力の下地作り、熟練職人から若い世代への技術承継、及び最新の設備投資など、現在、サカタではいろんな種を蒔いている。それは数年後に実を結び、大きな花を咲かせることだろう。
>紙面からの続き
ものづくり企業が直面する次世代への継承。坂田氏の場合は、嬉しいことに娘が「職人になりたい」と言ってくれた。そうなれば彼らが生き残れる道を考えないといけない。足元を固めて、最良のかたちでバトンを渡したい。永年培われた高い技術力、材料屋との強い信頼関係による材料調達力にくわえて、積極的に設備投資に取組み、外注していた加工も内製化できるようにした。子育て世代の母親を採用して将来の戦力を育てていく。同時に業界全体のことを考え、若者の職人育成にも力を入れる。また高齢の職人たちが後々活躍できる場を考え、DIY教室も時折開催している。そんな坂田氏の言葉はいつも熱意が溢れている。
株式会社サカタ
http://leather-factory.co.jp/
大阪市阿倍野区昭和町2-20-8 TEL 06-6629-1133