MOBI6
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一般的にめっきで最初にイメージされるのは装飾用途。これは被膜が3~10ミクロンほどの薄いもの。それに対して高温で溶かした亜鉛に鋼材を浸し、表面に亜鉛皮膜を形成する溶融亜鉛めっきによる被膜は50~100ミクロンで、合金層により亜鉛と鉄が強く結合するため耐食性が高い。また一浴式による形成が可能なため建築材をはじめ道路・鉄道・造船及び電力通信に至るまで広く用いられている。2017年に90周年を迎えた駒形亜鉛鍍金所では創業以来、溶融亜鉛めっきを専門に製造してきた会社だ。
通常のめっきは鉛やカドミニウムが含まれており、環境への負荷もあるが、同社では2009年に「Aめっき」を開発。代表取締役の清川安成氏曰く「これは環境保全を目的に、EUで施行された有害物質の規制RoHS(ローズ指令)をクリアした、安全な亜鉛めっきです」さらに技術開発を進めて注目したのが、「亜鉛・アルミ合金めっき」だ。亜鉛にアルミニウムを添加すると耐食性能が2倍~10倍も向上することは知られていたが、製法が困難でコストがかかるため国内では数社しか製造していない。同社では何年も前から研究を重ね、シンプルかつ大幅なコストダウンができる新製法「Aめっきスーパー」を開発。技術は確立し特許も取れたが、被膜が安定して付着しないため実用化が進まなかった。そこで2017年にMOBIOの産学連携相談を活用、大阪府立大学とアドバイザー契約を結んで研究をスタート。アドバイスをもらったことで製法も大きく変わった。被膜が安定しない原因のひとつは、金属の融点の違い。大学側とミーティングを重ねるなかで、合金にすると融点が下がることに目をつけた。そこで合金粉末の配合を数ヶ月かけて実験し、ついに低コストな一浴方式で、安定して被膜を付着できる合金めっきの製法を見出した。6月にドイツで開催される溶融めっきの世界大会『インターガルバ2018』では、この「Aめっきスーパー」の研究発表がなされる予定だ。亜鉛めっきに革命をもたらす新技術は、同社を次なるステージへと引き上げていく。
ある幹部曰く「社員をその気にさせる、清川マジック」があるという。その熱い語り口、これだと思ったらどこでも全力で出向いていく行動力。それが会社のスピード感につながっている。今回もMOBIOの産学連携相談窓口からの紹介で共同研究につながり、開発を一気に進めた。研究において一番難しいのは、間違っていてもやり続けることだと清川氏は語る。「間違ったと分かることも、ひとつの進歩。それを続けることで改善策が出てくる。自分の選択肢のなかにギブアップはありません。ギブアップしたら終わり。困難でもやり続け、それをアピールすれば助けてくれる人も出てきます」
株式会社駒形亜鉛鍍金所
http://www.komagata-mekki.co.jp/
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