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ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
現状打破のヒントやモチベーションアップにつながります。
誰が操作しても同じ除菌効果。弱者を守り、健康に寄り添う。
目には見えなくても、私たちが暮らす日常空間にはさまざまな細菌が潜んでいる。これらの除菌に効果的だと今注目されているのが「次亜塩素酸」。塩化ナトリウム水溶液や、薄い塩酸などを電気分解して生成された微酸性次亜塩素酸水は、安全性と殺菌力の双方に優れている。この微酸性次亜塩素酸水生成装置「ELBEENO(エルビーノ)」を、開発・製造するティエラは、建設会社の新規事業として立ち上げられた。流水式除菌水生成装置の販売経験を経て、自分たちの理想の除菌装置をカタチにしたのがエルビーノだ。一昨年、一般財団法人機能水研究振興財団により厳しい審査を経て賛助会員にも認定された。順風満帆に思える歩みも、建設業にとっては、販売やものづくりといった未知の分野への挑戦の連続だった。代表取締役である藤井真紀氏曰く「目標を掲げたら、そこに向かって一点突破」の情熱で、いくつもの難題を乗り越えてきた。以前扱っていた中性と違い微酸性は塩酸を使用せねばならず、パーツの選定などの改良点も多かった。専用原液の配合と機械の開発を同時に進めることが難しく、ひとつの装置で濃度の違う2種類の除菌液を出す機構づくりにも苦労した。藤井氏はこの製品の一番の売りを「安心・安全・簡単」と語る。全自動で専用原液を高精度に電気分解し、水道水と混合して生成される微酸性次亜塩素酸水は、高い除菌力がありながら肌に優しく、食品添加物なので誤飲しても安全。有機物に触れると水に戻るのでそのまま排水しても環境汚染もない。手をかざせば、すぐ除菌水が出てくるため操作も簡単だ。
発売から3年で約1000台を販売。さらなる拡販を目指して、さまざまなマッチングや勉強会にも頻繁に足を運んだ。技術力のある門真市内中小企業の認定制度カドマイスターに認定され、『関西機械技術要素展』や『マイドームビジネスフェスタ』にも出展。そこで大手商社へのプレゼンの機会を得て、2017年11月に契約までこぎつけた。最終的な目標に社会貢献を掲げる藤井氏。「子どもや高齢者といった弱者を守る、そんな存在になって欲しいです」
ティエラ設立のきっかけは、元請けの建築会社から流水式除菌水生成装置の販売を持ちかけられたことから。異分野に参入し総代理店として6000台販売の実績を上げた。「エルビーノに関して実績はこれから。地に足をつけて歩んでいきたい」と語る藤井氏。同時にここまできたのは、いろんな人の力添えのおかげだとも。自分たちが開発した商品だから、みずから足を運び、汗をかいた。その熱い想いは伝わり、代理店、製造元である岡山の企業、カドマイスターに認定されてからは行政と多くの人からサポートを受け、着実にネットワークを築いてきた。だから恩返しのためにも絶対にヒットさせたい。「成功することが恩返しになる。その結果、社会貢献につながれば、こんな嬉しいことはないです」
株式会社ティエラ
http://tierra-club.com/
門真市三ツ島6-25-3 TEL 072-887-0777