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真空成形を基盤技術へと押し上げる「TOM工法」。

布施真空のコア技術、真空孔を必要としない型の使用が可能な「次世代成形法(NGF成形)」。この成形機を活用した3次元加飾工法が「TOM工法」だ

3次元曲面への表面加飾が可能なマシンNGF-0512-RS。材質を問わず大型製品も加飾可能でフィルムに印刷した文字・絵柄合せも容易

プラスチックの成形法は射出や押出が知られているが、布施真空は文字通り「真空成形」を創業時から手がけ、現在はプラスチック熱成形の加工と成形機製造、つまりソフトからハードまでを併せ持つ独創性の高い企業だ。「新しい素材に対する成形法、あるいは顧客の要求に基づいた成形法を考えて装置をつくり、加工技術を確立する。そのためには私たちが実際に加工する技術を持っていなければできない。だから試作研究だけでなく委託加工も受けています」。そう語るのは代表取締役社長の三浦高行氏。そのような研究のなかで約20年前に開発されたのが、3次元表面加飾工法(TOM工法)だ。真空成形は一般に厚手のプラスチックのシートを材料として、大物部品を製造するのに使われる。金型に微細な穴あけ加工が必要だが、これを省いて真空成形ができないかと、工法改革を模索するなかで生まれたのが次世代成形法(NGF成形)であり、それを活用したのがTOM工法だ。薄手のフィルムにさまざまな加飾と接着剤を塗工し、装置内部に真空状態をつくり出して型に押しつける。この工法で成形できる装置は、北米や欧州、アジア各国に輸出され高い評価を得ている。
さらに近年ではTOM工法を進化させ、環境も考慮した技術Neo-TOM工法を開発。これは自動車のボティなど超大型製品も加飾でき、塗装・めっきの代替工法として、また製品基材の機能性向上の表面処理法として世界各国から注目を浴びている。「加飾の世界もこれからはコストダウンだけを考えるのではなく、品質を上げて満足感を高めるものづくりをしなければ」。この技術によって加工された製品は、プラスチックに高級感や上質感を付与。複雑な形状にも対応し、塗装では得られない表現力も見せる。「従来の塗装をWET工法と定義すれば、Neo-TOMは環境改善に貢献度の高いDRY工法」だという。用途も新鋭車両の室内装備品、住宅設備機器の仕上材、オフィスの什器から自動車の内外装品、レジャー商品など多岐にわたる。価値観が変わる時代に、環境に配慮した感性に訴える加工法を提供する。
それこそ次世代を切り拓くものづくりといえよう。
真空成形において加飾の可能性拡大にくわえて、今後は被覆というさらに広い分野への展開を進める三浦氏。断熱性、耐候性、耐薬品性、電磁波特性などフィルム自体に機能を持たせることもでき、電子基板の防水被覆などすでにいくつかの分野で採用されている。また塗装の世界でも今後は、膜圧が均一でなめらかに貼り付けられるNeo-TOM工法も選択肢に入ってくるだろう。たとえば自動車に断熱性能が高い表皮材を貼り付けることで、夏場における車内の温度変化をより緩やかにさせ、エアコンのエネルギー消費を低減させたり、またフィルムをディンプル状にすることで、空気抵抗を減らして走行性能の向上、ひいては燃費の向上にもつながるという。

布施真空株式会社
http://www.fvf.co.jp/
羽曳野市駒ヶ谷2-103 TEL 072-958-1401

Neo-TOM工法による加飾で、外装の多様化も容易に。ボンネットに鷲のマーク、サイドに木目と、さまざまなテクスチャーを再現することができる

3次元表面加飾工法の構造図
真空装置内部で成形用型と加飾フィルムをセッティングし、装置内部を真空に引くとフィルムが仕切りとなりフィルム両側が真空状態に。上側を開けると大気圧に押され型の3次元形状にフィルムが張り付く仕組み

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