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薬はゼリーで飲む時代へ夢の次世代錠剤包装で医療に革命を。
高齢者や子どもが薬の錠剤を包装シートごと飲み込んで、のどや食道を傷付ける事故が後を絶たない。その数は毎年推定5,000件以上。こうした事態を受けて昨年12月、厚生労働省及び消費者庁が啓発を促進、さらに事故防止に向けて「薬の包装を変える」という方針を打ち出した。実は20年も前からこの課題に取り組み、医療界の常識を覆す画期的な新包装を開発する企業がある。それが「服薬イノベーション」を企業理念に掲げるモリモト医薬だ。
代表取締役の盛本修司氏は、大手製薬企業の製剤研究所での長年の経験と多数の特許出願の実績、幅広い人脈を活かし、服薬をテーマとする商品開発をおこなってきた。2005年に同社設立後、2008年から薬剤とゼリーをセットにして提供する新しい服薬方法「GT剤」の開発をスタート。これはフィルムを封止する独自技術「弱シール加工」がなされた、ハイバリアフィルムを使用。携帯時はゼリーが飛び出す心配はなく薬と完全分離、使用時は簡単にゼリーと薬を押し出し混合させる特殊構造を実現したもの。さらに、汎用性を求める声から、手持ちの薬を投入できる1回使いきり型の「GTパック(別ブランド名/のめるモン)」も開発。
「GTパックは、水やスプーン・コップなしで薬剤の服用ができる画期的な服薬補助ゼリーキット。従来の服用ゼリーとはまったく異なり、ゼリーが薬をしっかりと包み込み粉末でも飲みやすく、嚥下(えんげ)困難な方、高齢者や子どもの服薬をサポートできます」。使い方や使用後の処理が簡単なので、水が不足する災害現場やアウトドアでの利用も見込まれている。
先の熊本地震でも熊本県庁からの要請を受け、救援物資として「のめるモン」をはじめ、服薬支援ゼリー約25,000個を盛本氏自ら現地へ届け、災害時に極めて有用であることが証明されたばかりだ。同社の強みは革新的なアイデアと、それを可能にする高度な生産技術にある。「GTパックは、私が長年携わってきた抗がん剤などの特殊製剤の充填システムにヒントを得たもの。私は工学部出身なので、エンジニアの専門技術を生かして医療界に貢献することが使命と考えています」。
先ほどの弱シール技術を応用して開発されたのが、次世代錠剤包装「ESOP(イソップ)」だ。医薬品の錠剤やカプセルは通常、アルミなどの薄い金属とプラスチックによる「PTP包装」が使用されている。ESOPはこれに代わる包装技術として、誤飲しても体内を傷つけない軟らかい樹脂の透明フィルムの錠剤包装である。さらに含量と効能などの記載が限られているPTPシートに対し、ESOPはロットナンバー・使用期限・バーコードなど11の情報が表示される。ロール状にしたESOPをボックスに入れ、自動薬剤払い出し機にセットできるピックアップシステムも考案しており、これが規格化されて普及すれば、煩雑な調剤業務も効率的なものへと刷新される。最終的には患者が服薬指示どおりに残さず服薬する「服薬コンプライアンス」の向上を目指したいという。
「目指すは世界標準。そのために会を設けて、日本の技術を世界に広める働きかけもしています。ここはオープン・イノベーションにして、参入する会社を歓迎しています」。人と薬をつなぐインターフェイスを変えること、それは真の意味で患者に寄り添った「服薬イノベーション」といえるだろう。
株式会社モリモト医薬
http://www.morimoto-iyaku.jp/
大阪市西淀川区御幣島5-8-28
TEL 06-6476-5572