MOBI6
ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
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半世紀を超える実績のプレス加工技術でアジアに勝つ競争力を。
アルミの塊を200トンから630トンの圧力でプレス。その強い衝撃により、アルミは金型のまわりを覆うように均等に伸び上がり、一瞬にして継ぎ目のないアルミの容器を成形する。これが藤川金属工業が誇る「インパクトプレス加工」。
ドイツで生まれたこの工法を50年前に日本に持ち込み、自社で改良を重ねてきた。この工法では「薄肉」加工が主流だが、同社では電化製品のボディとしても使える「厚肉」加工に挑戦。しかし厚肉の場合、通常のやり方だと、アルミの外側が丸まって「えくぼ」といわれる不良品が発生するため、厚肉用の機械を独自に開発。金型をただ振り下ろすのではなく、3回モーションを変え、落下のスピードを変えることで、アルミを隅までゆきわたらせて角を立たせることに成功した。
「複雑な成形も、金型のスピードが変えられる技術の賜物。こういった付加価値を付けないと、日本のものづくりは生き残っていけない」と藤川浩史代表取締役社長。1回の工程で仕上げるインパクトプレス加工は、スピードもコストも圧倒的な優位性を持つ。その寸法精度の高さ、滑らかな仕上がりから、リチウムイオン二次電池やシェーバーの容器などで採用され、底部以外は継ぎ目のない、一体型総アルミボディの美しいスピーカーを手がけたことも。
また車載部品の開発では、経営革新計画の承認も得た。「発想を変えるだけで、価値が生まれるものはある。今後も価格競争に勝てる、付加価値のある製品をつくり続けたい」
藤川金属工業株式会社
http://www.fujikawa-metal.com/
大阪市西成区旭2-8-9 TEL 06-6562-4315