業界初、上にも下にも、ダイナミックな高さ調整が可能になった可動式洗面台「LAP」。腰を曲げることなく、洗髪も簡単にできる。また施工もいたってシンプル

洗面台や収納棚は“固定されているもの”。そんな既成概念を破る「人に寄り添う、洗面台。LAP」は、使う人の身長や体勢に合わせてカウンタートップを電動昇降させ、日常生活を安全・快適にアシストする商品。こちらを開発したのは、別注家具の製作やインテリアデザインの設計・開発などを専門とする「I＆C」だ。介護施設向けに耐久性やメンテナンス性を重視し、低価格を実現したタイプと、デザイン性と素材感を高めた住宅向け、加えて最新モデルの「LAP Air」では、熱や距離を感知するセンサーで人の接近を検知し、自動調整で昇降。より安全性を高めている。
大阪府の「平成27年度新分野・ニッチ市場参入事業化プロジェクト」にも採択されたLAPは、介護の現場に試作品を持ち込み、実際にモニタリングしながら、本当に必要とされている機能を追求して開発された。代表取締役の佐田幸夫氏は「一般住宅向けの洗面台の標準的な高さは750～850mmですが、LAPは620～1100mmまで調整でき、子どもや車いす利用者、妊婦や腰が曲がりにくい高齢者など、多様なニーズに対応できます」と語る。昇降時のスピードや静音性にもこだわり、ストレスフリーで使えるうえに、電力消費を抑えた省エネ設計。昇降時に障害物にあたった際には動きが止まるセーフティモーション機能を備えるなど、安全性に対する配慮はどこまでも抜かりない。
また新築の介護物件への導入では、コストが非常に重視されるため、デザインや機能を損なわない形で、コストダウンにもこだわった。すでに介護施設への導入も始まっており、この技術を応用した医療関係機器のリクエストもあるという。介護分野では見過ごされがちだったデザインにスポットが当てられているのも、I&C独自の考え方から。
現在、LAPは介護関係をメインにしながら、インテリアの展示会にも出展している。“デザイン重視のインテリア”と、“機能性重視の介護器具”の分野は、一見まったく相容れないゾーン同士。それをクロスさせたメーカーは、海外を見ても皆無に等しい。「介護の世界ではコストが最優先事項で、デザインは置きざり。だからこそ自分たちは、“インテリア発信の、介護機能のある商品”という市場を新しくつくっていきたい」。これまでも収納家具としての機能を果たしながら、万が一の地震に備えてくれる「家を倒さない家具」を発表するなど、つねに業界に新しい価値観を提示してきた。そもそも家具の世界は、新しい価値観が生まれにくい業界だという。「使っている材料や機械が何十年も進化していないので、デザインも含め、新しい機能、新しい形というものが生まれにくいんです」。だから差別化も難しく、低価格orブランドの二極化に至っている。そこに風穴を開けるべく、既存の商品と違ったジャンルの機能や素材を組み合わせ、新しい市場を開拓する。やわらかな発想で未来の住環境を意識した商品開発がおこなわれている。
同社は設立8年目の若い会社だが、国内だけでなく、海外からも熱い視線を集めている。「昨年はシンガポール最大の病院のプロジェクトにチャレンジするなど、アジアに注力しましたが、今年はヨーロッパでの展開を目指しています」

株式会社I＆C
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