近年ものづくり企業に求められる役割は変化している。
パソコン・映像機器・携帯電話・自動車関連部品の製造を中心に機械加工、金属加工をおこなう、豊栄金属工業。代表取締役社長の山本一雅氏は2009年の就任以来、事業環境の変化に対応して多品種少量を追求、毎年20%の売り上げUPを達成してきた。
面白いのは「競合で負けたら、その会社とつながりをつくる」という発想。各社の得意分野を結びつけたネットワークを構築することで生産性も上げている。また先代が残した「自動収納倉庫」という遺産も大きい。
この装置は1分以内に必要な金型を取り出し、30秒で金型交換、寸法出しまで3分という迅速さを誇る。
今も「一分一秒でも早い開発を」と、焼き入れ材をサイズごとに一定数保有するなど、基本的なものを事前製作し、短納期に対するニーズに対応する。「製造業は環境適応業。変化する環境にどれだけ適応できるかが重要。
当社は20年前はステンレスや厚物加工を通じ、金型の強度を勉強し、15年前は幾何公差、10年前からは自動車部品の強度に対するつくり込みに取り組むなど、ノウハウの積み重ねによって今があります」。
最近では大手産業機器メーカーとの取引により、ワンランク上の管理体制を整えるべく社内を改革中。
ISO9001を取得し、TS16949管理の勉強会も実施する。技術的にも1/1000の誤差も許されない、精度の高い工程能力を求められるこの仕事を経て、企業としての体力はさらに上がるはずだ。

豊栄金属工業株式会社
http://www.houei-kinzoku.jp/
守口市菊水通4-5-1　TEL 06-6996-5517