金属系新素材試作センター

金属系新素材とは

「金属系新素材」とは、金属ガラスや超超合金など、従来にない優れた特性を持ち、大学等で研究が進められている金属材料です。
東北大学金属材料研究所附属研究施設関西センターでは、構造用及び環境用の金属材料を重点に据え、その高機能化と製造技術の改良と開発に関する研究が進められています。

金属系新素材の一例

金属ガラス (アモルファス合金)

金属ガラスを用いた直径1μmの歯車の成形加工、モジュール 金属は通常、高温の溶融状態から冷却すると、金属原子が規則正しく並んだ結晶の固体になります。1960年代に、1秒間に100万℃の速さで急速に冷却すると、ある種類の合金は、金属原子が無秩序な状態で固まるアモルファス(非晶質)固体になることが発見されましたが、超急冷が必要だったため、箔や粉のような形状しか得られませんでした。

金属ガラスは、1988年、ゆっくり冷却しても、非晶質で大きな塊状の固体が得られる合金として世界で初めて日本で発見されたものです。

金属ガラスは、強く(高強度)、錆びず(高耐食性)、優れた電磁特性を有しているほか、超微細・精密加工が可能であり、従来の結晶性金属にはない優れた性質を活かした部品等への応用が可能です。

金属ガラス (アモルファス合金)
省エネルギーに貢献する次世代型耐熱材料

省エネルギーに貢献する次世代型耐熱材料省エネルギーにも大きく貢献する耐熱材料ですが、近年の研究の進展により、問題であった脆性が克服され、延性と強度を兼備した高温構造用金属間化合物が開発されてきています。耐熱材料は、熱エネルギー変換材料や航空・宇宙材料、自動車エンジン関連材料、高温プラント材料、耐熱工具などの様々な応用分野があり、材料の種類も多様ですが、その代表例として、1000℃付近まで使用可能な金属間化合物、Ni基超・超合金があります。

ジェットエンジン用タービンブレードなどへの応用も模索されるNi基超・超合金ですが、これまでの研究成果の蓄積を活かして、さらに新しい合金設計や金属組織のナノレベルでの制御を行うことに加え、熱処理や切削加工などのものづくり基盤技術との融合により、新たな実用材料の開発が可能です。

Fe-Al合金を利用した高機能複合鋼板

Fe-Al合金を利用した高機能複合鋼板高強度・軽量性に優れるFe-Al合金は軽量構造材料として期待されていますが、温度を上げると表層にAl2O3を形成することから高温耐食材料としても期待されています。しかし、靭性・延性が低く加工性に劣るため、合金単体では実用化されていません。そこで新たに、実用鋼板の表層に、この合金をクラッド圧延により一体成型加工を施したところ、Fe-Al合金の長所である高強度・軽量性・高耐食性を維持しつつ、所望の形状への成型加工が可能になりました。
この複合鋼板は、NiやCrなどを利用することなくある程度の耐食性を示すため、資源の節約・低コストというメリットを併せ持ち、自動車用触媒メタル担体や燃料電池ケースなどへの応用研究が進んでいます。

気相法で作成したコバルト微粒子

気相法で作成したコバルト微粒子一般的に材料開発は、物質の合成、特性評価、構造解析というサイクルを繰り返して進めます。例えば、マグネシウムを基に軽くて強い合金を作成する場合、まずは鋳造や熱処理により材料を作成し、次に強さや耐食性など、合金に求められる特性がどれだけ実現できているかを評価しますが、さらに特性のよい合金設計を行うためには、なぜその特性が得られたのかを分析する「構造解析」が不可欠です。

このため、写真のように、電子顕微鏡などの解析機器を用いて、様々な材料の組織と構造を原子配列にまで遡って解明する「構造解析」を推進し、より実用的な金属材料の創出を支援しています。

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