「分離」と「乾燥」というプロセスは製薬、食品、化学工業にかかわる広い分野で、様々な形体の機器の操作として用いられ、医薬品、食品、樹脂繊維などの製造に大きく寄与している。
同社では「分離」に用いる遠心分離、加圧と減圧濾過分離操作が可能な機械と、「乾燥」に用いる真空乾燥操作が可能な機械を完全受注生産体制で開発・製造・販売している。
遠心分離機は、縦型と横型の手動式と完全自動運転式を製造、加圧と減圧濾過分離については濾過機を製造し、濾過処理物の濾過後に乾燥が必要な場合は、同じ機械で濾過から乾燥までの操作が可能な濾過乾燥機も製造している。
近年は顧客から高度な仕様要求が増え、常に技術の進歩が求められている。同社では顧客とのコミュニケーションを心がけ、日々成長することで、「分離」と「乾燥」の技術及び製造機の品質について、顧客から高い評価を得ている。
同社では縦型の遠心分離機を主力製品とし、製造する機械の約7割を占め、国内の遠心分離機製造メーカーの中ではトップクラスの販売台数を誇る。
遠心分離機と言っても使用用途は様々だ。特に機械の仕様レベルが高い製薬やバイオ関係のプロセスで使用される機械は、処理物が接触する部分の材質や構造、運転方法などを、顧客と数ヶ月間打ち合わせを行う。仕様が確定した後に機械の設計に進み、機械の製造が完了するまでには6ヶ月程度必要だ。
濾過機や濾過乾燥機の製造工程も遠心分離機とほぼ同様だが、実際に顧客で機械を運転させるのは遠心分離機よりも最終製品に近い工程で使用されることが多い。処理物が接触する部分の表面仕上げ(電解研磨)状態や、各材料の耐食性などは特に重要で、機械的な知識だけではなく化学的な知識と経験によるノウハウが必要になる。
分離と乾燥に関する技術、機械の品質と制御パフォーマンスや処理物に対する機械の仕様対応力は、長年に渡る経験と実績により、蓄積された知識とノウハウにより可能になる。同社の技術と機械の品質は1000社以上の様々な分野の顧客から高い評価と信頼を得ている。
分離機や乾燥機の引き合いがあった場合は、まず顧客に処理物の性状を伺い、少量の処理物サンプルで、ビーカースケールでのテストを実施し、機械の仕様を選定する。その後、パイロットスケールのテスト機でサンプルテストを実施して、顧客が希望する処理物の製品状態で処理が可能か可否判断を行う。処理が可能であれば、商業プラントサイズの機械サイズを選定するためのスケールアップ計算を行い、顧客が要望する機械仕様が総合的に評価される。機械の購入商談前までの技術的な対応が可能であることが、同社の最大の強みだ。
同社では現状の景気の停滞感から脱却することを「最重要課題」に位置付けしている。一昨年、比較的若い中堅の管理職を中心にプロジェクトを立ち上げ、現在、VA・VEプロジェクト活動を実施中。現在の既存事業にこのまま依存することなく、新規事業を策定するために「戦略企画室」を発足し、現在活動中だ。
また工場の機械効率をアップさせたことによる余力を利用し、今まで以上に技術継承などの社員教育の時間を増やしていきたいと考えている。2011年には中国の上海に田辺離心機械有限公司を設立した。
平成28年で創業120年を迎える。社名のウィルテックは、「強い意志・意欲を未来にもちつづけるという意のWILL」「技術(Technology)を表すTEC」の合成語“WILLTEC”を表す。「強固な意志をもって技術的に限りない上昇と前進を求めていきたい」、と願う心を表現している。
タナベウィルテック株式会社
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代表取締役社長田邉 浩康
- 住所/〒533-0022大阪市東淀川区菅原2-2-97
- TEL/06-6321-3111
- FAX/06-6321-3152
- 創業/明治29年
- 設立/昭和22年6月
- 資本金/10,000万円
- 従業員/165人
- HPアドレス/http://www.tanabewilltec.co.jp