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営業時間:9:00~17:00
休館日:土日祝・年末年始

ピンチをチャンスに変えるのは、不屈のチャレンジ精神。

成功のツボ

挑戦:他社が嫌がる仕事を率先して受注
成果:新規取引先拡大など受注機会の増加

東京スカイツリーの免震装置にも採用された加工技術。最先端の技術開発・研究を展開する栄和機工の創業は1986年と歴史は浅いが、あらゆる難削材に対応できる金属加工技術を持つ。「できないものはない」。そう断言する自信の裏には、たゆまぬ挑戦があった。

チャレンジの連続によって、技術力を伸ばし、信頼を勝ち得る。

 「大手企業であってもパートナー、対等な関係だと思ってやっています。自分たちを下請けだと感じたことはない」。そう語るのは栄和機工の代表取締役・西原孝氏。創業が1986年と後発のため、とにかく最初から「人が嫌がることをやろう」と突き進んできた。だからあえて技術的ハードルの高い難削材の依頼も積極的に受けた。「機械加工において削れないものはない」そう豪語できる、あらゆる難削材に対応する確固たる技術力。CAD/CAMを使った3次元の金属加工をはじめ、宇宙開発用素材や超精密機器などグローバルな要求に応える。

30年前にまったくの素人から会社をスタートさせた西原氏。「後発なのでとにかく他社とは違うこと、みんなが嫌がる仕事をやろうと決めていました」

 「たとえば大型のハステロイなど高価な材料はリスクが高いから、みんな“失敗したらどうしよう”と怖がって尻込みするんですね」。こちらが扱う難削材の多くは、そういった希少で高価なものが多い。独自のルートを持っていないと迅速な調達も難しく、なにより加工の難しさから失敗のリスクも極めて高い。そのため取り扱いたくないと考え、技術革新に対しても消極的なものづくり企業は多い。
 しかし同社は挑戦の連続でここまで成長してきた会社。「うちからすればこんな簡単なものをどうして遠方から依頼があるのか、不思議でしょうがない」と西原氏は笑う。「なんでもやってみよう」が基本姿勢だから、難削材で扱ったことのないものはない。その甲斐あって原子力発電関連パーツ、H2ロケットのタンク、航空機の車軸、東京スカイツリーの免震装置など、あらゆるフィールドでその技術力は真価を発揮し、さまざまな案件が舞い込んでくるようになる。

パイプ状の材料からテーパーの入った卵型の形状を削りだすという仕事は、同社の評判を聞いた関東の会社から依頼された

 冒頭の言葉と呼応するように「絶対にディスカウントしない」とも。同じ仕事なのに毎回予算を削ってくるクライアントがあって、そこに対しては「今後一切仕事をしません」とファックスで断ったこともある。清々しいほど毅然とした態度でのぞめるのは、同社にしかない高度な技術力があってのこと。そのいっぽうで本当に難しいものであれば、先方の会社の規模は関係なく、一人でやっているような小さな会社でも、きちんと応えていく。
 「会社の名前で選んだりするのは、自分で門戸を狭くしているようなものです」。クライアントは年々増え続け、昨年から今年にかけても新規が5社増加。「ものづくり企業はとにかく、チャレンジし続けなければならない」。それが繰り返し語られる西原社長の信条だ。

完全な素人集団からのスタートし、難削材加工のエキスパートへ。

 大学の卒業証書をもらった翌日から、ガムシャラに働いてきた西原氏。もともとインテリアデザイナーとして東京で活躍していた。大学は工学部で、インテリアに関しては独学で学び、サラリーマンはやったことがないという。「やりたいと思えばなんでもできる」というのは、この時の経験から生まれた。

汎用旋盤を扱える技術者もおり、自分の手で加工の生の感覚を経験していることが、NC加工技術も高めている。だから高度な技術が要求される繊細な金属加工にも対応できるのだ

 そんな順風満帆な日々にふと浮かんだ、「自分の手でものづくりがしたい」という気持ちを貫き、38歳で現在の工場を購入、鉄工所を創業する。長男が超難関の中学受験に合格し、これから頑張る時期にさしかかり、自分もイチから頑張ろうと決断をくだした。従業員もいきなり3人雇ったが、西原氏同様みな素人だったというから驚く。新型のNC旋盤機を2台購入し、講習会に行って取扱説明書を見ながら、恐る恐る丸棒を削ってみた。現在からすると嘘のような話だが、まぎれもない事実。さらに当時は図面を見ても見積もりができない。知識も経験もない状態で、まわりの同業者から仕事を回してもらいほそぼそとやっていたが、最初の2年ほどは大きな赤字が続いた。「何ができるの? と言われても、自分でも分からない状態(笑)」
 さすがに不屈の人・西原氏も「もう限界か」と意気消沈していたとき、転機が訪れる。新規で大きな仕事の依頼が舞い込んできたのだ。ただしこの仕事を受けるためには新たな機械の導入が必要だった。リスクとチャンスを秤にかけて、後者を選ぶ。中古で1000万円の機械を導入し、見事に乗り切ったのだ。最大のピンチをチャンスに変えた。あきらめずにチャレンジしたから今がある。この実践が認知されて、経営が軌道に乗るまでは10年かかった。それまでに設備投資をし、技術を磨く努力も怠らなかった。「最初の10年を辛抱できるか、それが成功への分かれ道」だという。

今年の5月に始動予定の新社屋。規模も大きく拡大し、ISOなど各種認定を取得するという。こちらの事務所は社長がデザイン

 こうした信念と地道な取り組みによって少しずつ取引先を開拓し、信頼と実績を重ねていく。そして自分とともに働く社員を育てて技術が上がれば、それに応じて給料もアップする。「町工場でうちほど給料を払っているところはない」と西原氏は胸を張る。同社では皆勤手当があるが、全員がそれを受け取れるほど勤勉だ。仕事が始まる30分前には全員が揃い、仕事の準備を始めている。定年は60歳でその時点で退職金を支払うが、継続して働ける限り働いてもらえるようにしている。「まったく儲からなかった」と振り返る創業当初から福利厚生もしっかりしている。それができないようなら、経営者として失格だとも。「人間というものは自分ひとりで生きているわけではありません。会社が成長したら社員に還元して、彼らも幸せにしてあげて、結果として社会が良くなれば」

価格競争に巻き込まれない、日本のものづくり企業のあるべき姿とは。

 その後バブル崩壊やリーマンショックを体験したが、ここまで真面目にやってきて積み重ねた信用があったから乗り切れた。他社との違いを上げるなら「ミスがない」ことをあげる。「ここなら間違いない」と思ってもらえる。そのひとつの証が検査表の提示だ。同社では納品するすべての製品に対して、寸法表をつけている。図面に書き込んで終わりではなく、大変でもきちんと寸法表をつける。これによって納品先の確認作業も楽になり、製品の保証になるし信用にもつながる。

大手企業から厳格なサーべイを受けることも多く、品質管理は徹底されている。「すべての納品物に必ず検査表を添付しています。そのおかげもあり、クレームはほぼゼロです」

 「企業規模によって営業のやり方は違う。私たちのような規模であれば、自分たちから営業に行くとたちまち価格競争に巻き込まれてしまいます。そうならないように当社は技術力を磨き、口コミで取引先を広げてきた。それがいちばん確実なんです。そうやって、お客様から求められる会社でなければならない」。また安定を求めて同じ仕事ばかりしていると技術の発展はなく、これもまた時代に飲まれて価格競争に組み込まれてしまう恐れもある。「ものづくり企業にとって努力のしどころはいくらでもあります。あとはチャレンジ精神があるかないか」。たとえば見積りの依頼があれば、同社は必ず即日返答する。これもチャンスを逃さないためだ。
 まず根底にある揺るぎない技術力、そこだけで満足しない旺盛なチャレンジ精神とたゆまぬ努力、チャンスを逃さない対応力、そのすべてが揃って、栄和機工はここまでの成長を遂げた。「いろんな神社仏閣を見て回っていますが、有名でないお寺でも毎回新たな感動がある。奈良の大仏を見ても、日本のものづくりの凄さを実感します。コンピュータもない時代によくぞここまでというほど、精密なものをつくり上げられる国民性には感動しますよ」。この国民性があるかぎり、いいものをつくり続ければ売れると信じている。
 さて今後の展望について聞くと、創業以来となる現在の工場が手狭になってきたので、此花区の工業団地に移転予定だとか。ISOなども取得し、今年のGW開けには新たな拠点で始動する。またものづくり企業の多くが抱える継承問題も、こちらでは現在東京の大手企業で働く長男が今春入社することも決まっている。新社屋で息子とともに挑戦したいことは山ほどあると目を輝かせる西原氏。「遥か先の夢ですか、いずれ息子の代には自社製品を持ちたい。そのために今は基礎固めをしっかりとしていきたいですね」

ブレイクタイム

Q

休日はどのように過ごされていますか?

A

40歳を過ぎた頃から山登りを始め、最近では夫婦でウォーキングをしており、1日2万歩くらいで歩きます。最近、週末は関西一円の神社仏閣を巡っています。有名なところだけでなく、歩いている途中で出会った名もなき寺もしっかりお参りします。

Q

好きな言葉はなんでしょうか?

A

「心」。何ごともハートがなかったらダメ。先日、法隆寺の瓦の葺き替えで、屋根瓦を寄進した際にも裏にこの言葉を入れました。

企業概要

企業名
株式会社栄和機工
コア技術
難削材の加工
代表者
西原孝
住所
大阪市西淀川区大和田6-16-10
電話番号
06-6475-5852
資本金
1000万円
従業員数
7名

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